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F1日本GPの“前例”で昇格ラッシュ到来か。山本尚貴、“完全なスーパーライセンス”取得の舞台裏

10/15(火) 11:43配信

オートスポーツweb

 10月11日、F1日本GPのフリープラクティス1で山本尚貴がトロロッソ・ホンダを駆って見せたパフォーマンスは、率直に言って素晴らしかった。だが、記念すべき彼のF1初走行は、別の側面からも見ても、特筆すべきものとなっている。

 2019年も全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦中の山本がF1のフリープラクティスに出走するには、フリープラクティス限定スーパーライセンスか、あるいは完全なスーパーライセンスが必要となる。

 フリープラクティス限定スーパーライセンスを取得するには、事前に現行のF1マシンで300km以上を走行しなければならない。しかし、それは非常に高価なうえに、日程の調整も非常に高いハードルであることは言うまでもない。

 しかし、難しくともそれをやらなければ、山本は日本GPのフリープラクティス1に出走することは叶わなかった。というのも、スーパーライセンスを取得するには直近3年間でスーパーライセンスポイントを合計40ポイントを稼ぐ必要があるのだが、山本は2019年シーズン開始時点でそのボーダーラインに到達していなかったのだ。

 一部では「山本はちょうど40点持っている」という報道もあれば、また他方では「ギリギリで到達していない」という報道もあった。この混乱は“オフィシャルレベル”でも発生しており、同案件は世界モータースポーツ評議会(WMSC)でも取り上げられることとなったが、結果を言えば、WMSCは山本に完全なスーパーライセンスを与えるという特別合意に至った。

「今回、山本のスーパーライセンスポイントを計算し、スーパーライセンスを発給するかどうかを判断するにあたってポイントになったのは、10月末に開催予定のスーパーフォーミュラ最終戦に、彼が出場すらせずとも、充分なスーパーライセンスポイントを獲得できるという事実だ」

 FIAのレースディレクターを務めるミシェル・マッシは、日本GP終了後にそう語った。

「ゆえに、WMSCは最終的に、『山本はスーパーライセンスを取得することができる』という判断を下した。WMSCは、この決定ができる唯一の組織だ。この時点での障壁はスーパーフォーミュラの日程だけで、WMSCは“2018年と2019年のリザルト”に基づき、山本にスーパーライセンスを発給することにしたのだ」

「つまり、フリープラクティス限定ライセンスの条件である『300kmを走行しなければならない』という規則は、彼がフリープラクティス1に出走するにあたっては適用されるものではない。もちろん、フリープラクティス限定スーパーライセンスを取得するとなったら、F1マシンで事前に300kmを走破しなければならないがね」

 これまで我々は、完全なスーパーライセンスは実際にF1の決勝レースに出場するドライバーにしか発給されないと解釈してきた。しかし、今回WMSCとマッシが、それは事実ではないということを明確にしてくれた。

 そして、山本の前例ができたことにより、スーパーライセンスポイントを充分に所有しつつも、シートをまだ手に入れていないドライバーが、今後思いもよらぬ道をたどってF1に昇格してくるようになるかもしれない。

 その可能性のあるひとりのドライバーが、ミック・シューマッハーだ。ミックは今年、スーパーライセンスの発給を受ける絶対条件=スーパーライセンスポイント40ポイントを所有している。

 しかし、2020年に向けては、2016年に稼いだポイントが失効する一方で、2019年に稼げるポイントは極わずかとなる見込みだ。ミックは今年FIA F2に参戦しているが、第11戦終了時点でランキング12位。この順位ではシリーズランキングによるスーパーライセンスポイントは1ポイントも獲得できない。

  つまり、これまでの解釈に基づけば、2020年にはスーパーライセンスを取得することができず、F1昇格の可能性もなくなる。しかし、今シーズン中にどこかのグランプリでフリープラクティス1に出走すれば、何の問題もなくなるのだ。

 また、2019年シーズンの成績で条件を満たすニコラス・ラティフィや、山本とスーパーフォーミュラでタイトルを争うニック・キャシディも、スーパーライセンスを取得できるドライバーである。彼らにとって今年の日本GPは、非常に意味のある一戦となった。何しろ今後、彼らがF1をドライブできる可能性が劇的に広がったのだから。



[オートスポーツweb ]

最終更新:10/15(火) 11:44
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