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女子高生が原子力の町で動画に出て伝えたかったこと  米留学先で「きのこ雲、誇れますか」

10/16(水) 7:12配信

47NEWS

 福岡県大牟田市の高校3年古賀野々華(こが・ののか)さん(18)は、核産業が経済発展を支えた米西部ワシントン州リッチランドの高校に留学した。そこで、この学校の生徒らが愛着を持つ原爆のきのこ雲のロゴマークに異を唱える動画を発信した。「罪のない人たちを殺すことに誇りを持ってもいいのですか」―。18歳の日本の少女は、原爆を「誇り」とする町で、なぜ勇気を振り絞り、批判の声を上げることができたのか。

 ▽「原子力の町」で受けたショック

 リッチランドでは1940年代、長崎に投下された原爆の原料プルトニウムが生産され、町の発展をけん引した。「原子力の町」と呼ばれ、きのこ雲は町のシンボル的な存在となっている。2018年8月に初めてこの町を訪れた古賀さんはこの事実を知らなかった。生徒たちが愛用するきのこ雲のロゴ入りのパーカを、自分も何の疑問も抱かずに着ていた。

 留学中のある日、教師から思いがけない言葉をかけられた。「そのきのこ雲はどうしてそんな形をしているか分かる? 雲の中には亡くなった人たちがいるんだよ」。

 キノコ雲のモチーフは、原爆の爆発によってできる雲だったと知る。小学校の修学旅行で長崎原爆資料館には行ったことがあった。そのときに見た壮絶な被害を思い出した。ショックだった。無知が恥ずかしくて、悔し涙が流れた。

 ▽日本人の思いも知って!

 米国史の授業や核施設の博物館で原爆に対する住民の誇りを学ぶうち、日本人である自分の意見を留学先の生徒たちに知ってもらいたいと思うようになった。相談した教師やホストマザーにも背中を押された。そして帰国を控えた19年5月30日、校内向けの動画に出演した。

 「自分にとってきのこ雲は犠牲になった人と今の平和を心に刻むものです」。原爆が落とされた長崎から近い福岡の出身だと自己紹介し、日本には原爆の恐怖を学んで犠牲者を悼む「平和の日」があると伝えた。ロゴを変えてほしいわけではないとした上で、「雲の下にいたのは兵士ではなく、市民でした。きのこ雲は破壊したもので作られていて、誇りに思うことはできません」と正直な心境を訴えた。

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最終更新:10/16(水) 9:56
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