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DVと虐待は一体となって起こる~目黒女児虐待死判決で見える、今後の課題

10/16(水) 17:30配信

ニッポン放送

ニッポン放送「ザ・フォーカス」(10月15日放送)に中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也が出演。目黒区女児虐待死事件の判決について解説した。

目黒女児虐待死事件、父親に懲役13年

 

東京・目黒区で船戸結愛ちゃん(当時5歳)が両親の虐待の末死亡した事件の裁判員裁判で、東京地方裁判所は15日、保護責任者遺棄致死などの罪に問われた父親の雄大被告に対し、懲役13年の判決を言い渡した。今月7日の公判では、検察側は懲役18年を求刑していた。

森田耕次解説委員)この事件は去年3月2日、東京都目黒区のアパートから救急搬送された船戸結愛ちゃん当時5歳が病院で死亡したもので、警視庁が翌日に傷害容疑で父親の雄大被告(34)を逮捕しました。去年6月に保護責任者遺棄致死容疑で再逮捕する際に、母親の優里被告(27)も逮捕しました。厚生労働省の専門委員会は去年10月、家族の転居に伴う香川県と東京都の児童相談所間の引継ぎが不十分だったという報告書も取りまとめています。15日の裁判員裁判で父親の雄大被告に、求刑は18年のところ、懲役13年という判決を言い渡しました。

結愛ちゃんの危険を認識していたとの判断

野村)今回は保護責任者遺棄致死罪ということですが、その犯罪に関する量刑としてはもっとも重い13年という判決だったということは確かです。ただ、事件の一番の争点は、結愛ちゃんがいつの時点で死亡しそうだと認識したのか、という時期の問題です。保護責任者遺棄致死罪というのは、死亡するかもしれないということがわかってから放置したという犯罪なので、その期間が長いほど罪は重くなります。弁護側は、雄大被告は医師でもないので、直前の3月1日の時点で初めて死ぬかもしれないと認識した、ほんの短い期間の犯罪だということを主張してきました。しかし、今回の判決を見ると、明らかにもっと前の体重が激減している段階から死に瀕していることは認識可能だったということを相当重く見て、今回の判決に至ったのでしょう。

森田)亡くなるまでのわずか39日間で、体重が4分の1に当たる4キロ以上減って、12.2キロになっていたということで、体に170以上の傷もあったということです。

野村)体重が減ると食事を与え、食事と体重の関係を計っていたのです。ですから、雄大被告は結愛ちゃんが相当程度衰弱しているということを早い段階で認識していたはずなので、このことが今回の判決でかなり重く見られたということです。さらに、森田さんからお話のあった傷害についてです。暴行を働いて怪我をさせることが繰り返されていて、これはしつけではなく明らかな虐待だということです。この事件を踏まえて法も改正され、しつけと虐待を明確にさせることに至ったわけですが、社会に大きく影響を与えたこの部分についても裁判所は厳しく見ています。保護責任者遺棄致死に至るまでの一連の行為と見ることはできずに、それを超えた過剰な虐待があったという部分も量刑の判断の中では重視しなければいけないと述べているのです。今回の事件は保護責任者遺棄致死だけではなく、傷害という虐待行為についても裁かれていると見るべきです。

森田)ただ、求刑18年に対して13年。もっと重くてもいいんじゃないか、という声もあると思います。

野村)今回のような事件は殺人罪に匹敵するのではないかという一般的な意見は多かったと思います。確かに殺人罪の求刑という点で言えば、18年は殺人罪を想定したほどの重いものということになりますが、今回の裁判所の判断では、従来の保護責任者遺棄致死罪を超えるような殺人事件とは見られないという判断も若干しているのです。

森田)判決の結論では、被告人が犯罪事実をほぼ認めて、裁判において謝罪と後悔の言葉を述べていることなどの事情をも考慮し、主文の刑が相当であるということなのです。

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最終更新:10/16(水) 18:14
ニッポン放送

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