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テレワークは「魔法の杖」ではない 失敗の根本原因、第一人者に聞く

10/16(水) 7:00配信

ITmedia ビジネスオンライン

 働き方改革の旗印のもと、推進が叫ばれているテレワーク。ただ、実際に企業に勤めるビジネスマンの中には「導入や現場での普及が遅い」と感じたり、管理職や経営層からも「効果が感じられられない」などと感じたりする人が少なくないのではないだろうか。

【画像】比嘉邦彦教授の経歴

 ITの普及などで一見うまくいきそうなテレワークが、日本企業でつい失敗してしまう原因と対処法は何か。テレワーク研究の第一人者として多くの企業の現場を調査し、日本テレワーク学会会長も務めた東京工業大学環境・社会理工学院教授の比嘉邦彦教授に聞いた。

「人事に丸投げ」してしまう経営層

――テレワークがうまく普及しない、もしくは導入しても効果が感じられない点は、かなり多くの日本企業が抱える悩みです。なぜでしょうか?

比嘉: テレワークは昔から、正しく導入されれば働く人、経営サイド、社会の“三方良し”とされてきました。しかし、「なかなか広がっていない」と20~30年以上言われているのです。

 特に今、テレワークがあまり進んでいない理由として挙げられるのが「経営者にとって良しとされるテレワークがなされていない」という点です。今の働き方改革は「社会や働き手のため」とされています。働く側にとって「良し」となる取り組みなのです。

 反面、経営者にとってメリットのある(テレワークの)取り組みをやっている組織はほとんどありません。(名目上は)生産性の向上やコスト削減、人材確保といった経営者目線が一応、入っています。ただ、実際に行うメリットは、ほぼワーカー側の物になっているのです。「三方良し」と言っておきながら、経営者目線のテレワークがなされていないのですね。

――ただ、そもそも多くの企業では、ボトムアップというより上層部の指示でテレワークが導入されているように思えます。「経営者目線のテレワーク」とはどんな物でしょうか?

比嘉: 経営者から見て何かの目標達成があるか、と言うことです。例えば「政府に言われて行う」テレワークは、経営者目線とは言えません。「こういう会社にするのだ」と(経営者が)言い出してやることこそが、経営者目線なのです。

 だから、たいていの場合テレワークは「丸投げ」になります。(経営者)自身が本当にやりたいと思っていないことが多い。人事に投げてしまう訳です。人事はあくまでルールの枠内でやろうとする。推進チームを作って他社を勉強し、みんな似たような規則を作るので「金太郎あめ方式」になってしまう。

 彼らはイノベーションを起こそうと思ってはやりません。本当に会社のために行うには、イノベーションを起こす目的でなくてはいけないのに。人事に丸投げしてしまうのが根本的な間違いなのです。

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最終更新:10/16(水) 7:00
ITmedia ビジネスオンライン

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