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「大量リードでも全力プレー」は正しい姿? 高校野球の“暗黙の了解”を考える

10/16(水) 7:10配信

REAL SPORTS

野球界に存在する「アンリトゥン・ルール」。いわゆる“暗黙の了解”、“不文律”とも呼ばれるもので、例えば大差のついた試合ではリードしている側のチームが盗塁、バントを控えるといったものがそれに当たる。履正社の初優勝で幕を閉じた今夏の甲子園においても、大量リードが生まれた試合があり、チームによってその後の戦い方は異なっていた。

特に国際試合やメジャーリーグでは、これを破ると故意のデッドボールや危険なスライディングタックルなどの報復を受けることもある「アンリトゥン・ルール」。高校野球という舞台において、この“暗黙の了解”をどう考えるべきなのだろうか――。


(本記事は、8月23日に『REAL SPORTS』で掲載された記事に一部、加筆・修正を行って掲載しています)

仙台育英、作新学院は盗塁・バントを控えた

履正社の初優勝で幕を閉じた夏の甲子園。終盤の逆転劇、壮絶な打ち合い、投手戦、そして延長タイブレークと、今年も繰り広げられた熱戦に多くの人が心を動かされたことだろう。しかし中にはどうしても大差がついてしまう試合が出てくるものである。今年も10点以上の大差のつくゲームが下記の4試合あった。

1回戦:仙台育英(宮城)20-1飯山(長野)
2回戦:敦賀気比(福井)19-3国学院久我山(西東京)
3回戦:作新学院(栃木)18-0岡山学芸館(岡山)
準々決勝:星稜(石川)17-1仙台育英(宮城)

このような大差のゲームとなった時によく問題となるのが「アンリトゥン・ルール」と呼ばれる野球界の不文律だ。よく言われるものでは大量得点差のついた試合の終盤では盗塁、バントは控えるというものである。

上記の4試合では仙台育英、作新学院は終盤ではそのような攻撃は見られず(作新学院はもともと送りバントをほとんどしないチームだが)、敦賀気比と星稜は大量点差のついた7回以降にも盗塁、バントというシーンが見られた。2017年に行われたWBSC U-18ベースボールワールドカップでも日本代表が大量リードした場面で盗塁を決めたことに対してカナダの選手が猛抗議し、警告試合となったこともある。このこともあり、昨年のU-18日本代表に対しては、国際試合特有のルールにも説明が行われていた。

しかしだからと言って今大会の敦賀気比や星稜のような攻撃を批判しようという気は全く起こらない。技術的にも精神的にも未熟で、さらに球場の雰囲気などによってこれまでも考えられないような大逆転が起こってきたのが高校野球だからである。

近年では2016年夏の甲子園で7回表まで7点をリードしていた八戸学院光星(青森)がその後の3イニングで東邦(愛知)にまさかの逆転を許したケースを覚えているファンは多いだろう。

2014年夏の石川大会決勝では星稜が小松大谷を相手に9回裏に8点差を大逆転したというゲームもあった。一度負ければ終わりというトーナメントの戦いで、このような逆転劇を目の当たりにすると、最後まで手を抜かずに1点でも多くのリードを奪おうという心理が出てくるのも全く不思議ではない。

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最終更新:10/16(水) 8:57
REAL SPORTS

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