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台風19号到来から考える――災害時における「首都バックアップ機能」の重要性とは?

10/16(水) 17:30配信

アーバン ライフ メトロ

強まる災害への危機意識

 10月の3連休を襲った台風19号は、多くの死傷者と家屋の損壊といった多大な被害を出しました。

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 台風19号による被災者の支援・復旧作業は、これからです。特に甚大な被害が出た北関東や新幹線が水没したことで交通機関が麻痺している甲信越地方の復旧が急がれ、台風19号が過ぎ去っても予断を許さない状況が続いています。

 一方、3連休明けの東京は、おおむね平常通りの生活に戻っています。今回の台風19号では、多摩川の氾濫をはじめ東京都内でも水害が発生しています。また、一部の地域では停電や断水が起き、都民の生活にも支障をきたしました。

 それでも東京だけにフォーカスすれば、防災インフラが整えられたこともあり東京の復旧は早かったといえるでしょう。

 2011年の東日本大震災を機に、防災・減災への意識は着実に変化しています。それは、官公庁だけではなく、民間企業や一般市民にも浸透しています。今回の台風19号では、事前に鉄道各社が計画運休を決定。コンビニやスーパーといった商店なども休業しました。これらは台風に備えた対策といえます。しかし、今後も災害は起きます。今回の教訓を糧にして、さらなる安全対策が求められるでしょう。

 今後に起きる災害がどのぐらいの規模なのか? 東京が乗り切れるか否か? は誰にも予測できません。そのために、常に備える必要があります。特に、東京は世界屈指の国際都市です。東京が機能不全に陥れば、日本国内はもとより海外にも影響を及ぼします。

 そのため、政財界からは東京が機能不全に陥ることを想定して、事前からリスク回避術を模索する動きがあります。特に検討されているのが、東京の「バックアップ機能」です。東京のバックアップ機能を求める声は、2011年の東日本大震災以降から強くなっています。そうした声が高まるのは、災害への危機意識が強くなっている裏返しともいえます。

真っ先に手を挙げたのは大阪府と大阪市

 政財界が主張する「首都のバックアップ機能」と似たような議論は、過去にもありました。それが、「首都移転」もしくは「首都機能の移転」議論です。

 「首都移転」は、高度経済成長期以降から議論されてきました。また「首都移転」は多大なる労力を費やすことや混乱が大きいこともあり、1990年前後から「首都機能の移転」という形に変化して検討されています。

「首都移転」も「首都機能の移転」も、飽和状態になりつつある東京から開発余剰の大きい地方都市へと引っ越しすることで東京一極集中を緩和し、地方活性化を図るという意図が含まれています。地方を活性化させることで日本経済がさらに成長するという、「首都移転」も「首都機能の移転」も経済政策的な側面が色濃くありました。

 以前の「首都移転」や「首都機能の移転」と比べて、2011年以降に浮上した首都のバックアップ機能という考え方は、地域振興という目的が薄まっています。その替わりに、災害におけるリスクヘッジという意図が濃くなりました。

 首都のバックアップ機能を担うとして、真っ先に手を挙げたのが大阪府と大阪市です。両自治体は、首都を補完する副首都という概念を打ち出し、庁内に副首都推進本部を立ち上げました。副首都推進本部では、東京のバックアップ機能を補完・移行するためのスキームなどを議論しています。

 東京都もバックアップ機能の重要性は認識していますが、万が一の災害時に備えて遠く離れた関西に首都の代替機能をつくることは非効率という認識です。そうした理由から、東京都は隣接する神奈川県・埼玉県・千葉県の3県と横浜市・川崎市・千葉市・さいたま市・相模原市の政令指定都市5市で構成される9都県市首脳会議を結成しています。

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最終更新:10/16(水) 17:30
アーバン ライフ メトロ

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