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3ナンバーになった世界の大衆車“カローラ”は本当に生まれ変わったのか

10/16(水) 16:33配信

MOTA

ハイブリッドも盤石の安定感が魅力

対してハイブリッドは、盤石の安定感だった。モータートルクがアシストする走りは適度に力強く、ガソリンエンジンよりも上級ユニットであることがうっすらと感じられる。

ただし若干の重さが影響しているようで、もう少しだけダンパーの初期減衰力が欲しいと感じた。操舵初期におけるロールスピードが僅かに早いため切れ込み感が強く、個人的には曲がり過ぎてしまう印象を持った。

試乗したのはツーリングのハイブリッド W×B。ハイブリッドな上にセダンよりも若干重たいボディと、17インチタイヤのシッカリ感に対して、ダンパーがほんの少しだけ負けている。またEPSの軽さや制御の緩さも、そこに拍車を掛けてしまう。ちなみにガソリンモデルとハイブリッドでは、EPS(電動パワーステアリング)の制御が少し違うとのことだ。

そのままコンバートするのは無理だとわかっているが、感覚的にはカローラスポーツの足回りを付けてしまえばいいのにと思えた。

これを開発陣に話すと、彼らとしては「カローラとして守らなければならない味」があると語った。わかりやすく言うと垂直方向の突き上げ感のなさ。若干ふわりとした乗り心地には、18代続いたカローラの伝統があるという。

確かにカローラには歴代、そうした乗り味の印象がある。そう考えるとこのソフトな足回りで操舵応答性を引き出したことは見事だ。ただ操舵応答性が良くなると同時に直進安定性はトレードオフされるから、長距離移動ではどうなのか? だからこそ歴代カローラは、敢えて少しだけステアリングセンター付近の応答性を鈍らせていたのではないのだろうか?

ちなみにこのあと試乗したセダン ハイブリッド(グレードは同様にW×B)では、こうした切れ込み過ぎも少し抑えられていたから、ここにこそボディの差が少し現れたのかもしれない。

過去の呪縛に決別を告げながらも、いっぽうで頑固に守り続ける味がある

カローラは、かつて“国民車”と言ってよいほど街に溢れるクルマだった。本当に、我々庶民にとってカローラは誰もが買えるクルマであり、だからこそコンサバなデザインや乗り味が必要だった。だからこそ、スポーティカーとして「カローラレビン」や「スプリンタートレノ」、そして「カローラFX」といった数々の派性モデルが生み出された。

しかしいまやその存在は、同じトヨタが生み出したプリウスと、軽自動車に取って変わられた。そんないまキーンルックのセダンを見ていると、カローラは新しい転換を迫られたのだなと感じる。良い意味でこんな奇抜なセダン、昔のトヨタだったら絶対に許されなかったはずだ。

ジャパンサイズにこだわりながらも、スタイリッシュなリアビューを持つカローラツーリングにも、従来型カローラフィールダーの、敢えて少し控えめにしていたデザインからの完全脱却を感じる。

その一方で、彼らには伝統の味を守らねばならないという使命感もあった。その両輪があるからこそカローラなのだと、今回の試乗で深く学んだ気がした。

[筆者:山田 弘樹/撮影:和田 清志]

山田 弘樹(モータージャーナリスト)

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最終更新:10/16(水) 16:33
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