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北方謙三「武王の門」 わき上がる男の高ぶり熱く 【あの名作その時代シリーズ】

10/17(木) 18:30配信 有料

西日本新聞

荒々しい波が打ち寄せる玄界灘。男たちの熱い思いを刺激し、ときにのみ込む

 「あの名作その時代」は、九州を舞台とした作品、または九州人が書いた著作で、次代に残すべき100冊を選び、著者像や時代背景、今日的な意味を考えながら紹介するシリーズです。西日本新聞で「九州の100冊」(2006~08年)として連載したもので、この記事は07年9月16日付のものです。

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 〈ぶつかった。太刀を振りあげて叫び声をあげている騎馬武者を、懐良(かねよし)は横ざまに薙(な)ぎ倒した。躰(からだ)の中に、荒々しい咆哮(ほうこう)をあげているけものがいる。太刀を合わせるたびに、それは大きくなっていくようだった〉

 朝廷が分裂した南北朝時代、北朝の足利尊氏に対抗し、南朝の後醍醐天皇の皇子牧宮(まきのみや)懐良は征西将軍宮として九州に派遣され、五条頼元、忽那(くつな)義範、菊池武光らとともに、統一を目指して九州各地で戦いを重ねた。

 ハードボイルド作家としてデビューした北方謙三が、初めて手掛けた歴史小説。だが史実をなぞるだけでない。時代に息づく男たちのたぎる思い、壮大な夢、わき上がる高ぶりをわれわれの心に焼き付ける熱いメッセージが込められている。

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 九州を舞台に懐良は駆け巡る。桜島の火山灰が降る薩摩や大隅、菊池武光という力強い味方を得た肥後、総勢約十万の兵が激突した筑後、そして、朝鮮半島の高麗へ渡る拠点を置いた肥前。北朝軍勢との戦いは激しくなり、ページをめくるたびに緊張感が加速する。その一役を買っているのが、北方が紡ぎ出すスピード感ある描写だ。 本文:2,509文字 写真:1枚

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西日本新聞

最終更新:10/17(木) 18:30
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