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【特集】80歳の大学院生 「作業唄を残したい」笑顔の決意

10/17(木) 16:13配信

MBSニュース

2019年の春、80歳の女性が京都の同志社大学大学院に入学しました。彼女は日本のモノづくりの現場で職人が唄い継いできた「作業唄」を50年以上かけて集めてきました。「消えゆく文化を後世に残したい」…80歳の大学院生の「作業唄」にかける思いを取材しました。

80歳の大学院生 学ぶのは「デジタルアーカイブ」

阪田美枝(よしえ)さん(80)。2019年春から京都市上京区の同志社大学新町キャンパスに通う大学院生です。阪田さんが学んでいるのは「デジタルアーカイブ」、教室に入ると学生たちと和気あいあいと話します。

(阪田さん)「一番の親友。この人がものすごい助けてくれるんです。」
(大学院生)「私も阪田さんに助けられてばかりで。」
(阪田さん)「よう言うわ。」

授業は週5日。講義では難しい専門用語も飛び交います。

「今やりかけてるのは、歌詞がありますね、それにファセットを当てはめて…」(阪田美枝さん)
「自然言語処理の分野ではツールなんかを使うと、実際にキーワードを切り出す操作はそれほど難しくない。」(同志社大学大学院・総合政策科学研究科 原田隆史教授)

阪田さんが自分の孫と同じくらいの若者たちと机を並べて学んでいるのにはわけがあります。

50年前から全国各地の作業唄を集める 「誰もがインターネットで閲覧できるような形で後世に残したい」

阪田さんは50年ほど前から全国各地に残る職人の「作業唄」を集めてきました。作業唄とは日本のモノづくりの現場で古くから職人が受け継いできた歌のこと。労働環境が厳しい現場で職人同士が作業唄で励ましあったと言われてます。

♪〈お酒呑む人 みな神様ヨ ヨーイヨーイ〉

阪田さんは時間を作っては全国を飛び回り、各地に残る「紙すき唄」や「酒造り唄」など約200曲を記録してきました。しかし、口伝えの作業唄は職人の記憶だけが頼りなため、高齢の職人相手の調査は苦労の連続でした。作業唄は現場に何度も通い、職人から粘り強く話を聞くことで思い出されることが多いといいます。

「消えてしまう。そういう所ばっかりだったんですよ。おとといまで覚えてはったんですけど、という方。だからもう時間との競争だったんです。(職人から)『ここには唄が残っていません』と言われたんですね。おばあちゃんも『唄かね…唄なぁ…』とか言って、3時間くらい私が粘っていたんですよ。そうしたらね、ツルツルツルと唄いださはったんですよ。『50年ぶりに思い出した』とおっしゃったんですよ。」(阪田美枝さん)

全国を駆け巡り苦労して集めた作業唄を「誰もがインターネットで閲覧できるような形で後世に残したい」、阪田さんが80歳にして大学院受験を決意したのはこうした思いがあったからです。

「私のビデオにしか残っていない『日本の心の唄』がまた再生できるんですよね。こんな素晴らしい財産をね、残したい。」(阪田美枝さん)

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最終更新:10/17(木) 16:35
MBSニュース

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