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水没した北陸新幹線 「代替不可」の理由と「車両共通化」の真実

10/18(金) 8:00配信

ITmedia ビジネスオンライン

 台風19号の影響で長野新幹線車両センターが被災し、北陸新幹線の電車10編成120両が水没した。すでに各メディアで報じられているように、北陸新幹線の車両は専用仕様のため、他の新幹線車両が代走できない。しかし、JR東日本は災害とは関係なく、北陸新幹線と上越新幹線の車両共通化に着手したばかりだった。

【被災した、北陸新幹線の「E7系(W7系)」車両】

 JR東日本の報道資料によると、長野新幹線車両センターの信号関係の電源設備も被災したため、長野~上越妙高間で運休している。航空写真で見ると、中部電力の受電設備は北陸新幹線のトンネルの上、小高い丘にある。しかし、長野新幹線車両センターに併設された電力系設備は水没している。信号用に限らず、電車は架線から電気を受け取り、レールに戻して回路を形成するから、レールが水没すれば電力系も被災する。

 JR東日本の報道資料によると、信号用電源装置の復旧に1~2週間かかる。ここだけの被害で済めば北陸新幹線は全線再開となる。ただし、北陸新幹線全車両の3分の1が水没したため、運行本数は通常時の5~6割になるという。

電車は共通化したほうがいい、という常識

 首都圏のJRの電車の多くは共通化されている。京浜東北線と中央線快速、南武線などは、同じ車両に色の違う帯を巻いただけだ。湘南新宿ライン、上野東京ラインも同じ。ここに挙げた路線の電車はE233系といって、先代のE231系の改良型だ。E231系は電車の標準化に取り組んだ車両である。東急、小田急、相模鉄道、都営地下鉄新宿線もE231系の基本設計、機器を採用している。

【訂正:2019年10月18日11時30分 共通化されている車両の列挙に誤りがありましたので、訂正しました。】

 電車の顔は各社の意匠のために変えているし、各路線に対応する若干のカスタマイズもあるけれど、JR東日本は電車の共通化を進め、他社も採用している。理由は明白だ。開発費と製造費、部品調達コストを削減できるからである。従来の部品は電車ごとの特注品で、既存部品の多くもイチから仕様を選定する必要があった。共通化すればコストは下がる。

 JR東日本は、在来線の電車では「共通化によるコスト削減」を進めている。しかし、新幹線系統は形式が多く、共通化されていない。東北新幹線系統はE5系とE2系、秋田新幹線はE6系、山形新幹線はE3系、上越新幹線はE4系とE2系、そして北陸新幹線はE7系とJR西日本保有のW7系だ。バラエティに富み、趣味的には面白い。

 これに対して、JR東海の東海道新幹線は統一されている。形式のばらつきがあるのは、新旧車両を交代する過渡期だけだ。700系、N700系、N700Aの座席配置は共通で、運用も共通化できる。例えば「のぞみ」で新大阪へ行って、折り返しの「こだま」で東京に戻る、という運用ができる。車両の量産による利点だけではなく、駅の使用効率も上げられるし、ダイヤ作成上の制約も少ない。

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最終更新:10/18(金) 11:35
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