ここから本文です

980円で王様気分――松茸ごはんを炊いてみる【数字のないレシピたち Vol.3】

10/18(金) 20:01配信

クックパッドニュース

決められた材料、分量、調理法などない。何にも縛られず、自分だけの「美食」を味わうために作る料理があってもいい。それはきっと、心満たす色鮮やかな時間をくれるはず。出張料理人・ソウダルアが綴る、人と料理と時間と空間の物語。

■ ■ ■

幸せなんて980円で手に入るみたいだ

帰り道、頬をなでる風が涼しくなってきた。
毎年、長くなったように感じる夏もようやく終わって秋らしくなってきた。

そう言えば、今朝出社した時に同僚の女性が金木犀の香りがしてきましたねと言っていた。適当に合わせておいたけど、正直、金木犀がどういう香りなのかよくわからない。
そんなこともわからないから、俺はモテないのかもしれないな。

さてさて。モテない男やもめの晩めしはどうしますかね。

季節も良くなってきたので、自転車でちょっと遠めの大型スーパーに行って、切れそうだった洗剤とシャンプーでも買いに行こう。
奥の方にいる熱帯魚をぼーっと眺めるのが結構好きだ。
通り道のTSU○AYAで気になっていたDVDでも借りようか。

そんなこんなの一通りをやったあとにようやく、食料品コーナーへ。
必要以上にいろんな野菜や肉、魚、レトルト食品やお菓子が並んでいる様には何故だかテンションが上がる。

季節柄かいろんな茸が山のように積まれている。
秋になったし、茸か。
うん。悪くない。

しめじ、舞茸、えのき、平茸……ひらたけと読むのかな? なにやら初めて見る、茶色いえのきもある。
そして、他の茸がビニールに入っているなか、木箱に入った松茸がいかにも王様のように鎮座している。

関係ないな、とスルーしかけたがラベルには980円の文字。
980円? ラーメン屋でもそれくらいは使ってしまう。餃子とビールをつけたら足りなくなるような金額で松茸が買える。
もちろん、松茸を料理したことなんてないけれど980円ならいいじゃないかとかごに入れる。

帰り道、なんとなく誇らしい気持ちになってきた。
いま、このレジ袋に松茸が入っていると思うと何やら自分まで王様気分になってしまっている。これだけでも980円の価値はあったかもしれないな。

1/2ページ

最終更新:10/18(金) 20:01
クックパッドニュース

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事