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「避難所に行くのは諦めた」 台風の夜、氾濫した多摩川の土手で路上生活者は身を寄せ合った

10/18(金) 18:20配信

BuzzFeed Japan

台風19号の襲来時、東京都台東区が、自主避難所を利用しようと訪れた路上生活者を拒否した。安倍晋三首相は国会の答弁で「全員受け入れが望ましい」と言及し、台東区長は「対応が不十分だった」と謝罪した。

15日には多摩川沿いで路上生活者とみられる男性の遺体が見つかったとの報道もあった。暴風雨から身を守る家がある人と比べ、路上生活者にとっては、災害はさらに危険なものだ。

路上生活者は台風の夜をどこでどのように過ごしたのか。同じような生活をしている人が避難所で拒否されたことについてどう考えるのか。氾濫した多摩川沿いで話を聞いた。【 BuzzFeed Japan / 冨田すみれ子】

「6人全員の小屋が流された」

「河川敷のところにブルーシートの小屋が並んでたんだけどな。おれたち6人全員の小屋が流された。早く逃げたから命は助かったけど、小屋はすごい勢いで増した水でガーッと流されていったよ」

そう話すのは、多摩川の河川敷に10年以上住んでいるという男性(65)だ。日が沈みかけた人気のない土手で、台風前に小屋があった辺りを一人でじっと眺めていた。

小屋があったのは、多摩川の神奈川県側にある河川敷。ラジオでも「今年で最も大きい台風」「命を守る行動を」と繰り返されていたため、10月12日は、午前中から荷物の移動などを始めたという。

多摩川に架かる橋の下に、運べる物は全て、仲間6人で動かした。

「こんなに上まで水が来るなんて誰も思わなかった」、男性は語る。6人は土手と橋台の間部分に身を寄せ、台風の夜を過ごした。

テントを持っている人もいたが、持っている段ボールやブルーシートなどで風をしのいだ人もいる。土手で豪雨の中、時間が過ぎるのを待ったが、河川敷が広い神奈川県側でも、多摩川の水は土手のギリギリのところまで来ていた。

あと1メートルほど水が増えていたら、6人も流されていたところだったという。

避難所利用「昔から、そんなものは諦めている」

「本当に大きい台風だと聞いたけど、私たちはホームレスだからさ。避難所に行っても入れてくれないだろうし、諦めてるよ。断られた話なんて昔からよくあることだから、もう『助けてくれない』って頭に入ってるんだよ」

男性は、行政の路上生活者に対する災害時支援についてそう語る。

「台風から4日経っても、役所の人間は一人も見回りに来たりしないよ。水一本だってもらっていない。私たちは年老いたのばっかりだけど、持ってる物やお金を出し合って、自分たちでどうにかするしかない。私たちは人間だと思われていないんだよ」

男性の仲間は皆60、70代で、長く路上生活を続けている。元は皆、大工や道路工事などの仕事についていたという。「働きたくても、もう年だからなかなか元やっていた仕事では働けない」と話す。

役所の路上生活者に対する災害時支援や、避難所利用について意見を問うと、男性は「もうとっくの昔から、そんなものは諦めている」と話しながらもこうこぼす。

「区民優先だっていうのはわかってるけど、年がいっている者はもう70代。私はまだ足腰がしっかりしていて逃げることもできるけど、せめて体が弱っている年寄りだけでも…」

「私たちだって、好きでホームレスになったんじゃないんだ」

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最終更新:10/18(金) 18:20
BuzzFeed Japan

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