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[特派員コラム]トランプと金正恩の“一時停止”

10/18(金) 8:15配信

ハンギョレ新聞

 今月5日、スウェーデンのストックホルムで朝米実務交渉が決裂した後、ワシントンから北朝鮮イシューはほとんど消えた。2月末のベトナム・ハノイでの2回目の朝米首脳会談が合意なく終わり、6月末に両首脳が板門店で劇的に会って以来3カ月ぶりに期待の中で開かれた実務交渉だったが、これが成果なく終わった後、ドナルド・トランプ大統領は言葉を控えている。おびただしい数のシンクタンクがあるワシントンで、今回の実務交渉決裂以後2週間のあいだに開かれた朝米関連行事は唯一、14日にジョージ・ワシントン大学の韓国学研究所が用意したジョセフ・ユン元国務省対北朝鮮特別代表招請講演だけだった。この行事に参加した米国人たちは記者に「朝米対話に関心がないようだ」「保守陣営からの『北朝鮮をさらに圧迫しなければならない』という声以外には聞こえてこない」と話した。

 ワシントンが冷淡になった理由は、今回の実務交渉が梗塞-交渉-決裂というこの間のパターンが再び繰り返しされたと見るためだ。これが繰り返されるほど、懐疑論が大きくならざるをえない。実務交渉で朝米間の狭めにくい間隙が再確認されたことも、ワシントン冷気流の大きな要因だ。米国と北朝鮮は、内容においてお互いにそれぞれ「先非核化」と「先相応措置」を要求し対抗している。「非核化を先にはっきりと保証せよ」と「私たちはやるだけのことはやったので、制裁を解き安全を保障せよ」という主張の間に接点は見出しがたい。対話方式でも、北朝鮮側は金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とトランプ大統領の首脳会談に重大決定を任せようと主張する反面、米国側は首脳会談に進む前に実務交渉ですべての調整を終えなければならないという立場が頑強だ。幸いなことは、双方が対話の場を投げ出さずに相手の決断を圧迫しているという点だ。

 再び起きた朝米対話の“一時停止”期間が、どこに行き着くかは計り難い。まず米国の事情が日ごとに混乱している。トランプ大統領は、民主党の弾劾攻勢に苦しんでおり、シリアからの軍撤収決定をめぐっては民主党はもちろん共和党内部からすら強烈な挑戦に向き合っている。支持層の農民に自慢して「1段階合意」を宣言した米中貿易交渉もまだ実体が不明だ。政界とマスコミは、来年の大統領選挙ムードで熱くなっている。北朝鮮問題はしばらく後順位に押されざるをえない。このような混乱の中でも、トランプ大統領が北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)試験発射と核実験の中断状態を来年11月の大統領選挙まで維持できるならば、彼としては悪くない。

 だが、北朝鮮がじっとしている可能性は低い。米国に対し「年末までもう少し熟考せよ」と明らかにした北朝鮮は、年末が過ぎればこれまでの短距離弾道ミサイル試験発射より行動の強度を高めるほかはない境遇に自ら置かれる。ジョセフ・ユン元特別代表は「北朝鮮が、今年末か来年初に人工衛星を発射するかもしれない」と話した。米国が“レッドライン”と見なす大陸間弾道ミサイルではないものの、事実上同じ水準の威嚇を加え緊張を高めてくるという話だ。北朝鮮の行動強度が高まる時、トランプ大統領の対応がどうなるかは、米国内でも「2017年の“炎と怒り”の時期に戻りうる」と「武力対決は避け、対話に乗り出すだろう」という観測が分かれている。それに加えて、再び弾劾と大統領選挙など米国の国内状況とトランプ大統領の即興性という変化要因まで入れれば、見通しは一層複雑になる。

 結局、朝米が共に状況が悪化することを防ぎ統制可能な範囲に置くためには、現在の一時停止を早く終わらせ、再び交渉に臨まなければならない。その推進力は、実務交渉チームではなくトランプ・金正恩両首脳こそが作り出すことができるという点も避けられない現実だ。

ファン・ジュンボム・ワシントン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:10/18(金) 8:15
ハンギョレ新聞

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