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フェデラー来日は13年ぶり 日本テニス界が抱える「運営面」のアマプロ問題

10/19(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

武田薫【スポーツ時々放談】

 台風一過の14日、帝王ロジャー・フェデラーが13年ぶりに日本でプレーを披露した。他にも錦織圭、車椅子の国枝慎吾、ゴルフのアダム・スコット、スノーボードの平野歩夢らを集めたユニクロのイベントで、その目玉がエキシビションマッチだった。

■6万円が瞬時完売

 当初はフェデラーと錦織のドリームマッチの予定だったが、圭の故障で断念。対戦相手が決まらぬまま6日前にチケット販売を開始、6000円から6万円の席が瞬時完売だった。

 相手は米国ナンバーワンのジョン・イズナー。のっけから208センチの長身が叩き込むバズーカサーブを、片手打ちのフェデラーが左右に反撃するバトル模様。38歳と思えぬ柔らかく素早い身のこなしで、スーパーショットがイズナーの足元を襲い、脇を抜き、ジャンピングスマッシュ――プロの多彩な技と力をとことん見せつけた。

 エキシビションマッチは公式戦ではない。しかし、テニスプロの技術は十分に観客を楽しませるから、古くは田園コロシアムで、80年代にはボルグ、マッケンロー、コナーズ、ナブラチロワを中心に「サントリーカップ」や「グンゼワールドカップ」など数多く開かれ、ダフ屋が列をなした。

 90年代に入って、エキシビションマッチが消えた。「サントリーカップ」がATP公式戦「サントリージャパンオープン」に変わり、日本テニス協会による“公式戦至上主義”のもとに国内プロ大会は潰され、最後はツアー大会の「セイコースーパー」まで消滅した。

 しかし、アマチュアを旨とする日本の協会がプロ大会を運営することにそもそも無理がある。ビジネスができない。交渉できなければ、看板が公式戦だろうとトップ選手は同時期の北京に流れてしまう。ジョコビッチが今年の楽天オープンに初出場したが、メジャーチャンピオンがこれほど長い間、日本でプレーしなかった例はなかった。

■枠を取り払った人材登用

 地味が建前の協会にはプロの演出も別世界だ。日本に最初に女子ツアー(WTA)を持ってきたのは青山音楽事務所。グンゼワールドのディレクター進藤重行はアンジェイ・ワイダの助監督で関根恵子を世に出した映画畑の出。東レPPOを30年続けた野地俊夫は東芝オーレックスジャズフェスティバルの仕掛け人……彼らはプロスポーツの楽しさ、華やかさを見せる術を知っていた。

 自前の会場がない日本のテニス界がいま、直ちにマスターズ大会を招致することはできない。エキシビションでも開かない限り、日本のファンはトップのプレーを楽しめない仕組みなのだ。

 今回の企画は、錦織やジョコビッチ、フェデラーにユニクロを着せた腕利きの働きでようやく実現した。テニスに限らずどのスポーツ団体も、枠を取り払った人材登用でアマプロ問題に取り組まない限り裸の王様。フェデラーはこう言った。

「ゲームはどんどん発展していく。ぼくは100%、それを支持する」

 その変化、発展が分からないのでは困るのだ。

(武田薫/スポーツライター)

最終更新:10/19(土) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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