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「共同親権運動をされている方は、一緒に“家裁予算10倍運動”をすれば効果的だ」憲法学者・木村草太教授が問題提起

10/19(土) 10:05配信

AbemaTIMES

 法務省が先月末、離婚後も両親共に親権を持てる共同親権を導入すべきかを検討する研究会を年内に設置すると発表した。

【映像】討論・子どもの立場に立ったベストチョイスは?

 これに先立つ9月25日、AbemaTV『AbemaPrime』では、「離婚後に自分の子どもに会えなくなる」「子育てにも関与したい」と共同親権の導入を求める当事者や弁護士、そしてDV等の懸念から単独親権の維持を主張する関係者を招き討論を実施した。放送後、ネット上には「円満離婚なら共同親権でも良いけど、DV・虐待のケースで共同親権は子どもにとって地獄」「共同親権は子どもが2人の親と十分な関わりを持って育てられる権利だから必要」と、子どもの視点でこの問題をどう考えるのか、という意見も散見された。

 現行の制度を改めて押さえておくと、親権には、同居し、世話をしたり、養育したりする「身上監護権」(民法820条)と、子の教育方法、進路決定、職業選択、契約、財産管理などの重要事項を決定する「財産等管理権」(820~824条)が含まれる。現行民法では、婚姻中は共同親権だが、離婚後は単独親権となっている(818条3項本文)。共同親権で期待されている点について、上野晃弁護士は「親権争いで過熱した夫婦間の紛争を鎮静化させる」「現状では子どもと会わせるかは親権者の意向に大きく左右されるため、面会交流できない可能性があり、他の国に比べて面会交流が圧倒的に少ない。他の国と同じように十分に交流できる可能性もある」との見解を示している。

 そこで10月9日放送の『AbemaPrime』では、首都大学東京の木村草太教授(憲法学)、元家庭裁判所調査官の伊藤由紀夫氏、そして一般社団法人りむすび代表のしばはし聡子氏を交え、議論した。

■木村教授「共同親権にしたからといって改善できる問題ではない」

木村:法律上の親子関係や、親権の概念を正確に理解しないまま行われている議論も多いと感じている。

まず、法律上の親子関係について、簡単に解説したい。日本の法律では、母親が出産すると自動的に「法律上の母子関係」が成立する。他方、父親は、認知の手続をとると「法律上の父子関係」が成立する。ただし、母親が結婚している場合、その子は夫の子と推定され、自動的に夫との「父子関係」が成立する。法律上の親子関係があると、親権を持っていようといまいと、扶養義務や相続権を持つ。親権がないからといって、「法律上親子ではない」ということはなく、扶養のためのお金を払わなくていいということにもならない。むしろ、親権の有無に関わらず、子を扶養する責任は継続する。

次に、親権について説明したい。現在、親権には、同居して世話をしたり、養育したりする権利である「身上監護権」と、財産の管理や教育・進路の決定、職業選択、契約などの重要事項を決定する「財産等管理権」が含まれている。

第一の身上監護権については、誤解が多い。民法766条は、監護や面会交流については、単独親権になったとしても、親権者が自由に決められる事柄ではないと定めている。父母は、どちらが親権を持つかに関わらず、「子の利益」を最優先して監護・面会交流の方法を協議で決めなくてはならないとしている。「親権を持たなくなった方は、法律上、親と扱われなくなり、子どもに会うこともできなくなる」という説明は誤りだ。

具体的には、民法766条1項・2項は、次のように定めている。この規定は、協議離婚(裁判所を通さない夫婦の合意による離婚)についてのものだが、民法771条で裁判離婚(裁判所の判断による離婚)にも準用されている。

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最終更新:10/19(土) 10:05
AbemaTIMES

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