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過去最速のサバイバルレースをモレマが制す 序盤からワールドチームが積極的なレースメイク

10/20(日) 18:27配信

Cyclist

 序盤から猛攻を仕掛けたワールドチームによって、過去最速の平均時速39.11kmを記録したジャパンカップサイクルロードレースは、サバイバルな展開の末、バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)がマイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)とのマッチスプリントを制して、2015年以来2度目の優勝を飾った。3位にはディオン・スミス(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット)が入った。中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)は、最終盤までメイン集団に残る走りを見せ、日本人最上位となる6位でフィニッシュした。

序盤から常にハイペースな展開へ
 アジア最大級のワンデーレースである「ジャパンカップサイクルロードレース」は、1週間前の大型台風直撃により土砂災害の被害を受けた宇都宮市・森林公園周回コースにて開催された。一時は開催を危ぶまれる声もあったが、迅速な復旧・復興対応により、無事レースは開催。前日まで降っていた雨も上がり、カラッと晴れたレース会場には8万2000人の観客が詰めかけた。

 コースは1周10.3kmの周回コースを14周で争われた。スタート直後から上りが始まり、古賀志林道のつづら折りの上り区間は、距離1.1km・平均勾配8%に達する難所。その後もテクニカルなダウンヒルを経て、アップダウンを含む上りを経てスタート・フィニッシュ地点に戻ってくるコースレイアウトだった。

 レースはスタート直後から、那須ブラーゼン、キナンサイクリングチーム、ワイルドライフなどコンチネンタルチームを中心に、活発なアタック合戦が繰り広げられた。
 しかし、ワールドチームがそれらの動きをことごとく封殺。古賀志の山頂からのダウンヒルで、逃げに乗ろうと抜け出す動きを見せた内間康平(チームUKYO)は「かなり踏んで、集団から抜け出せたと思って後ろを振り返ると、トレック(・セガフレード)とEF(エデュケーションファースト)が集団を引いていた」と振り返っているように、ワールドチームが積極的にレースメイク。
 ダウンヒルを終えると、集団は20人ほどの小集団3つに分裂。内間は「前も全開なので、後ろも全開で行かざるを得なかった。1周終わった時点で、ほとんど脚がなくなっていた」と振り返るように、決定的な逃げが生まれないために、序盤から非常に厳しい強度でレースが進行していた。

 2周目に入ると、ようやく8人の逃げが決まる。メンバーは以下のとおり。

8人の逃げメンバー
ロバート・スタナード(オーストラリア、ミッチェルトン・スコット)
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、バーレーン・メリダ)
ジューリオ・チッコーネ(イタリア、トレック・セガフレード)
クーン・ボウマン(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
ジェームス・ウェーラン(オーストラリア、EFエデュケーションファースト)
マルコ・カノラ(イタリア、NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)
フランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)
ルカ・ドゥロシ(フランス、デルコ・マルセイユ・プロヴァンス)

 ワールドチーム全チームが優勝候補を含む強力な選手たちと、2017年覇者のカノラも逃げに乗ったことで、集団は大きくペースダウン。「逃げているのがワールドチームなので、3分差つけられたらおしまいだと思っていた。2分が限界。コントロールとかじゃなくて、国内チームが全力で前を追いかけた」と内間が話すように、チーム ブリヂストンサイクリング、シマノレーシング、チームUKYO、そして宇都宮ブリッツェンが協力しながら逃げ集団を追いかけた。どうにか、タイム差を2分以内にとどめながら、周回を重ねていった。

ユンボ・ヴィスマの波状攻撃が始まる
 厳しい追走のため、国内チームの選手がどんどん脱落していくなか、中盤からワロニー・ブリュッセルもメイン集団のけん引に協力。タイム差が1分30秒前後でコントロールされていた。レースが動いたのは9周目。逃げ集団からウェーランが遅れてしまったのだ。

 メイン集団を追いかける必要性が生まれたEFエデュケーションファーストが、ワロニー・ブリュッセルに代わって集団けん引を開始。ラクラン・モートン(オーストラリア)の力強い引きによって、逃げ集団とのタイム差が11周目に入る頃には、50秒まで一気に縮まった。
 すると、古賀志林道でマンセボがアタック。一旦吸収されたタイミングで、チッコーネがカウンターで飛び出した。ここにドゥロシが食いつき、2人で抜け出す展開に。

 メイン集団ではユンボ・ヴィスマが動き始めた。まずはロベルト・ヘーシンク(オランダ)がペースアップ。20人程度まで人数を減らす猛烈な加速によって、新城幸也(バーレーン・メリダ)、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)ら日本人勢が遅れてしまった。

 一方で中根と岡篤志(宇都宮ブリッツェン)が集団に生き残った。このときについて中根は「チームメイトの石上(優大)と伊藤(雅和)がものすごいサポートしてくれて、いい位置で上ることができた」と振り返っていた。
 ユンボ・ヴィスマのペースアップによって、逃げていたチッコーネとドゥロシを含む逃げを全て吸収。同時に、セップ・クス(アメリカ)がカウンターアタックで飛び出した。
 バーレーン・メリダのカルーゾが追走に力を使い、クスの動きを封じ込めたものの、今度はステフェン・クライスヴァイク(オランダ)がアタック。ユンボ・ヴィスマはクライスヴァイクが単独で先行したまま12周目に突入。
 チッコーネの献身的なけん引によって、古賀志の頂上付近でクライスヴァイクを集団に引き戻したが、またもやカウンターでクスが飛び出す。モレマ、ウッズらエース級が反応せざるを得ない状況に追い込まれていたが、クスも集団に引き戻された。

 続いてニールソン・ポーレス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)がカウンターアタック。ユンボ・ヴィスマの強烈な波状攻撃が実り、ポーレスの飛び出しに成功すると、メイン集団の足が止まってしまった。
 ところが、ポーレスは思ったように後続とのタイムを引き離すことができず、12周終了時点で12秒差と依然として僅差のまま。またメイン集団には、中根、岡が残っていた。
モレマがマッチスプリントを制す
 残り2周。メイン集団はチッコーネが引いていたが、古賀志の上りの麓で力尽きてしまう。すると、モレマとウッズがアタック。集団を置き去りにすると、逃げていたポーレスを追い抜き、山頂を通過。

 ここに来て後手を踏むことになってしまったユンボ・ヴィスマは、クスが単独追走し、山頂を3番手通過。さらに、中根が全力でもがいて4番手通過を果たした。岡は上りで失速し大きく離されてしまった。このとき「序盤から過去最高にハイペースだった。自分自身、体調を崩していたこともあって、最初のペースアップはついていけたけど、2発目・3発目のアタックについていくことができず、ベースの力が足りてないと感じた」と岡は語っていた。

 モレマとウッズは協調しながら、後続を引き離していく。追走集団はクス、ヘーシンク、マンセボ、中根、スミスの5人となり、ユンボ・ヴィスマの2人が主にけん引しながら前を追った。先頭2人は追走に28秒差をつけて、最終周回に突入した。
 最後の古賀志のつづら折りの上りに入ると、ウッズがダンシングで加速。モレマはシッティングのまま付き位置をキープ。山頂付近でウッズがもう一段階加速すると、モレマはたまらずわずかに離されてしまった。しかし、レース後のモレマは「ハードな上りだったけど、自分のリズムで上れていたので問題ない」と話すように脚は残しており、ダウンヒルに入るとすぐにウッズに追いついた。

 追走集団では、ヘーシンクの献身的なけん引から、クスが前に行こうと積極的にペースアップを図っていたが、独走に抜け出すには至らず。ヘーシンクが脱落したあと、このとき「両足がつっていた」中根も脱落。
 モレマとウッズは、終盤に差し掛かっても極端なけん制状態に陥ることなく、2人による逃げ切りが確実な状況となった。ラスト1kmを切ると、ウッズが先頭、その背後をモレマという位置のままフィニッシュ地点に近づいていく。ウッズが左から振り返って、何度もモレマを確認。すると、残り300mを切った最終コーナーに差し掛かるタイミングで、ウッズが左から振り返った直後、モレマはウッズの右側からスプリントを開始。反応が遅れたウッズとの差を一気に開くと、「ラスト50mで勝利を確信した」というモレマがフィニッシュラインに先着。2015年以来、2度目となる優勝を飾った。

 「ユンボ・ヴィスマが非常に強かったが、ラスト2周から1周半のところで、自分が前に出ることができた。(小集団によるスプリントを制した)2015年のときと同じような展開で、勝つことができて嬉しい。クリテリウムもチームメイトのエドワード(トゥーンス)が勝ち、チームとしても、またスポンサーやサポートしてくれる関係者の方々にとっても、素晴らしい週末となり、最高の気分だ」とコメントを残した。
 2位に入ったウッズは「チームとして非常にうまく戦えた。途中、チームメートがうまくコントロールしてくれて、最終的には自分が前に行くことができた。最後は、バウケ(モレマ)が素晴らしかった」とレース後に語っていた。
 後続集団では、ラスト1kmで遅れていた中根がマンセボ、クス、スミスに追いついた。しかし、「追いついた時点で、完全に両足がつっている状態だった。もうスプリントする力は残っていなかったので、流れでゴールした」と語るように、3位争いのスプリント勝負には加わることができなかった。

 残った3人によるスプリントは、スミスが先着。スミスは「(出場メンバーが)4人と少なかったので、他のワールドチームの後ろでレースを展開しながら、表彰台を狙う作戦がうまくいってよかった」と振り返っている。
 4位には43歳にして、序盤からずっと逃げに乗っていたマンセボが入った。ユンボ・ヴィスマは積極的にレースを動かしたものの、5位にクスを送り込むことが精一杯だった。

 6位に入った中根は2年連続アジア最優秀選手賞を獲得。「アジア人最高位はおまけ。序盤はマルコ(カノラ)が逃げに乗ったので、焦ることなく終盤を迎えることができた。このチームで走るのは今日が最後だったのと、自分のためにチームメートがすごくサポートしてくれたので、何が何でも3位になって表彰台に乗りたかったので悔しい」とレースを総括した。

■ジャパンカップサイクルロードレース結果
1 バウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)3時間41分13秒
2 マイケル・ウッズ(カナダ、EFエデュケーションファースト)+1秒
3 ディオン・スミス(ニュージーランド、ミッチェルトン・スコット)+44秒
4 フランシスコ・マンセボ(スペイン、マトリックスパワータグ)
5 セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)
6 中根英登(NIPPO・ヴィーニファンティーニ・ファイザネ)+52秒
7 ニールソン・ポーレス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)+2分9秒
8 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ)
9 ケニー・モリー(ベルギー、ワロニー・ブリュッセル)+2分31秒
10 オールイス・アウラール(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)

最終更新:10/20(日) 18:27
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