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“私立小御三家”から転落しかねない…学習院初等科の危機

10/20(日) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【名門校のトリビア】学習院初等科

「ここ10年の間に学校のステータスが一気に落ちた感じがする」と嘆くのは、初等科(小学校)から中・高、大学までずっと学習院ですごしたOB。慶応幼稚舎、青山学院初等部とともに「私立小御三家」に数えられる学習院初等科だが、近年の評判はあまりぱっとしない。その背景に大きく横たわるのは皇室関連の問題だ。

 学習院は江戸時代末期に公家の子弟の教育を目的に設立され、数多くの皇族が学んできた。前天皇の明仁上皇、そして徳仁天皇と秋篠宮親王の兄弟も幼稚園から大学まで学習院に在学した。異変が起きたのは2010年春。秋篠宮さまの長男・悠仁さまがお茶の水女子大学附属幼稚園に入園したのである。

「悠仁さまが学習院幼稚園ではなく、お茶の水幼稚園に入られたのは秋篠宮さまと紀子さまの要望。2年保育の学習院より、3年保育のお茶の水に通わせたいというお気持ちが強かったそうです。ただ、小学校は学習院を選ばれると思っていたのですが……」

 学習院関係者はこう振り返る。幼稚園はお茶の水でも、小学校からは学習院に来るだろうと予想していたのはそれなりの根拠があった。お茶の水幼稚園はお茶の水女子大キャンパス(東京・大塚)、学習院幼稚園は学習院大キャンパス(東京・目白)の中にあり、いずれも秋篠宮邸のある赤坂御用地からは歩いて通える距離ではない。車での送迎時間もさほど変わらず、秋篠宮ご夫妻が2年保育より3年保育と考えていたのなら、幼稚園はお茶の水という選択になるのもうなづける。

 しかし、小学校となると、話は変わってくる。お茶の水女子大附属小は幼稚園と同様、お茶の水女子大キャンパス内。一方、学習院初等科は学習院大キャンパスではなく、迎賓館(最寄駅・四ツ谷)の真ん前にある。そして、迎賓館に隣接するのが赤坂御用地。つまり、秋篠宮邸から学習院初等科には徒歩数分で通えるのである。

■徒歩数分なのに通わなかった悠仁さま

 悠仁さまが小学校からは学習院に来られるものと、関係者が考えるのも無理はなかったが、その期待は見事に裏切られてしまう。悠仁さまはそのままお茶の水女子大附属小に内部進学。戦後の皇室で学習院初等科に入らなかったのは初めてである。現在、悠仁さまはお茶の水女子大附属中に在学している。

 秋篠宮家では悠仁さまだけでなく、長女・眞子さまは学習院女子高から国際基督教大、次女・佳子さまは学習院大を中退し国際基督教大に進んだ。皇室の「学習院離れ」が顕著になる中、初等科の人気凋落に追い討ちをかけたのが、徳仁天皇の長女・愛子さまの不登校問題が表面化したことだった。一部の男子生徒の乱暴な振る舞いで学校に行けなくなってしまったのだ。雅子妃や皇太子時代の徳仁天皇による登下校の付き添いや授業参観は1年半以上にも及んだ。

「学校側の対応の拙さもあって、問題がずるずると長引き、初等科入学を目指していた父兄から敬遠されてしまった。愛子さまの不登校が伝わった2011年度の入試(10年11月実施)では入学を辞退する合格者が相次ぎ、すでに発表していた補欠者だけでは定員をカバーできない事態に追い込まれた。翌年度以降もなかなか人気が回復することはなかったのです」と話す学習院関係者は「御三家から転落する日も遠くない」と悲観する。

■学校の評判をおとしめた麻生副総理

 学習院初等科の価値をおとしめている原因は、皇室から敬遠されだしたことばかりではない。出身者の中に、同校の教育を受けても大丈夫なのか、疑わせるような人物がいるというのである。その代表格は首相経験者で現在、副総理と財務相を務める麻生太郎だ。

 父方は福岡県筑豊の炭坑経営を出発点に、九州随一の財閥・麻生グループを築いた一族。母方の祖父は元首相の吉田茂だ。麻生は小学校2年まで筑豊の麻生塾に通った。父・太賀吉が炭坑労働者の子弟のために創設した学校だった。悪ぶりたがるのが麻生の持ち味とも言えるが、それはお山の大将だったこの時代に身についたものだ。小学校3年の時、上京。学習院初等科に編入した。

 この麻生が学習院の評判を下げていると言われだしたのは首相時代。国会答弁で漢字をたびたび誤読したからだ。「踏襲」を「ふしゅう」、「詳細」を「ようさい」など、それほど難しくない熟語をことごとく間違えたのである。学習院初等科の先輩の三島由紀夫がもし生きていたら、大いに嘆くに違いない。同級生の一人は次のように話す。

「初等科で麻生さんの成績はいつもビリから数番目。特に国語と算数がひどかった。しかし、そんなことにはほとんど無頓着な様子で、勉強している姿を見た記憶がない」

 算数のテストでは50点とれればいいほうだったという。数字が苦手だった少年が今や国の財務を担うトップにいるのだから、ある意味、大したものだ。

 学習院にとってはマイナスの要素ばかりが目立っている状況だが、「最近、また人気が復活する兆しがあるのです」と話すのは大手学習塾の小学校受験担当者だ。

「学校側が志願者数など入試に関するデータを公表していないので、正確な数字はわかりませんが、ここ数年の倍率は7倍前後と見られ、以前の水準に戻っています。一連の騒動で人気が落ちたぶん、かえって狙い目と考える保護者が増えたのです。歴史と伝統に培われた学習院初等科の教育システムが優れているのは間違いないのですから」(同)

■人気復活の兆しの背景は…

 学習院初等科の教育でもっとも力が入れられているのは生徒の人格形成。公家の学校だから、どちらかというと優しさを前面に押し出した教育が行われていると思いがちだが、校風を示す言葉として一番最初にくるのは「質実剛健」。学習院長を務めた乃木希典陸軍大将の遺訓でもある。

 6年生の時に静岡県で行われる4泊5日の沼津海浜教育は、100年以上も続く伝統行事。競技水泳ではなく、日本古来の立ち泳ぎ、横泳ぎ、平泳ぎなどを用い、長時間泳げるようにするのが目標だ。なお、質実剛健の校風を体現するように、男子生徒は全員、水着ではなく赤いフンドシを着用する。

 もちろん、現代に合わしたカリキュラムも積極的に取り入れている。3年生からは1人1台のパソコンを使った情報教育や、少人数による英語教育もスタートする。

 学習院関係者の直近の気がかりは、学習院女子高3年生の愛子さまの進路。学習院大に内部進学するのか、それとも他大学を目指すのか、いまだ情報は漏れ伝わってこない。

「人気が多少回復したといっても、皇室のさらなる学習院離れが進むと、初等科にとってダメージとなるのは避けられない」と関係者は危機感を募らせる。学習院の今後を左右しかねない愛子さまの決断が明らかになるのは間もなくである。(一部敬称略)

(田中幾太郎/ジャーナリスト)

最終更新:10/20(日) 10:13
日刊ゲンダイDIGITAL

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