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〈記者メモ〉藤井聡太七段 1年8カ月の成長見せられるか 21日に羽生九段戦 王将リーグ

10/20(日) 11:28配信

中日スポーツ

 「10代は成長期。これからも伸びていくでしょう」

 羽生善治九段(49)が藤井聡太七段(17)についてこう語ったのは2018年2月17日のことだった。この日、羽生九段=当時二冠=は第11回朝日杯将棋オープン戦準決勝で藤井七段=当時五段=に敗れた。公式戦初顔合わせだった。藤井七段が続く決勝でも広瀬章人竜王(32)=当時八段=に勝ち、最年少棋戦Vを飾ったことは記憶に新しい。その会見の席上だった。

 同じ称号を持つ者同士だからこそ、実感をもって伝えられることもあるのだろう。その称号とは“中学生棋士”。それは将棋界で特別な存在だ。長い歴史で5人しかおらず、藤井七段以前の4人の先輩はいずれも頂点を極めている。

 人間の前頭葉は25歳くらいまで成長するといわれる。なかでも10代はその真っ盛り。やはりその時期にトップ棋士にもまれることのアドバンテージは、計り知れないということだろう。

 藤井七段もかつて語っていた。「18歳から25歳までが流動性知能のピークのようで大事な時期」(将棋世界2017年9月号)と。流動性知能とは、未知の場面に対応する能力のことで、計算力、暗記力、思考力、集中力などを含むという。それがピークへと向かう今の時期の重要さは、天才少年も深く自覚している。だからこそ、17歳にして王将リーグに身を置けることは千金の価値があるのだ。

 冒頭の羽生九段のコメントから早くも1年8カ月が過ぎた。両者は21日の王将リーグで再び相まみえる。前回は早指し棋戦だったが、今回は持ち時間各4時間。「長い持ち時間での対局は初めてなので楽しみ」と語った藤井七段。1年8カ月の成長が問われる大一番となる。

 ちなみに、デビューから朝日杯初優勝までの藤井七段の成績は66勝11敗で勝率0.857だった。それ以降は75勝18敗で0.806(10月18日現在)。なかでも本年度は25勝9敗で0.735。豊島将之名人(29)に4連敗を喫するなど、最近はかなりもまれている状況にあるが、今この時こそが次なる飛躍への大きなバネとなるのだ。

 「尺蠖(しゃっかく)の屈(かが)めるは伸びんがため」。古代中国の「易経」にもこうある。尺蠖とはシャクトリムシのことだ。

 兆しはある。終始厳しい展開を強いられながらも、171手まで粘った10月7日の豊島名人戦もそう。あのような戦いは必ず次につながる。バネがはじけるのもそろそろか―。まずは10・21に注目だ。(海老原秀夫)

最終更新:10/20(日) 11:37
中日スポーツ

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