ここから本文です

100校以上で講演した高校球児のカリスマが語るメンタル強化の独自メソッド

10/21(月) 11:02配信

東スポWeb

【気になるアノ人を追跡調査!!野球探偵の備忘録(95)】近年の高校野球界において、関わった高校が軒並み甲子園出場を果たすなど、その実績から注目を集めるメンタルトレーナーがいる。「本気の朝礼」が話題になりメディアにも多数出演、阪神・矢野監督も取り入れる「予祝」を提唱し、ヤクルトからドラフト1位指名された奥川恭伸投手(星稜=3年)もその著書に感銘を受けるなど、球界を席巻している“高校球児のカリスマ”大嶋啓介とはいったい何者なのか。その素顔に迫った。

「メンタルトレーナーなんて言われますけど、実は人一倍メンタルが弱いんですよ、僕。最初に入った会社はうつ病でクビになりましたし…。だから心を強くする方法を学んだ。野球経験は中学までで高校野球をやらなかったことに未練があった。自分の可能性にフタをした後悔があるからこそ、自分の経験を還元できないかなと」

 飲食業界で店長として人間関係に悩んでいた大嶋氏は、メンタルトレーニングや脳科学、スポーツ心理学など様々なセミナーや研修会に参加。その道の先駆者に弟子入りし、自身の考えを体系化した。得意とするのはリーダー育成や組織論だ。

「日本一人が輝く会社ってなんだろうと考えたとき、甲子園球児が集まって会社をつくったら最強だなと。圧倒的な目標に対する意識と統率力。高校野球って実はとんでもない本気の組織づくりをしてるなと気づいたんです」

 大嶋メソッドの基本は「対選手」ではなく「対監督」。居酒屋で酒を酌み交わし、監督と「選手の能力を伸ばすリーダーのあり方」について、熱く話す。リーダーのちょっとした気づきがチームの大きな変化になる、というのがモットーだ。

「リーダーシップには2種類あって、一つはコントローラー型と、もう一つはメンター型。昔ながらの監督はコントローラー型で、これは権限と恐怖で人を動かす手法なんです。一方でメンター型はあこがれと尊敬で選手のやる気を引き出す。この監督から学びたい。監督の元で日本一を目指したいと思わせて、選手が自らやる気になるあり方です。今も指導者の7~8割はコントローラー型ですが、それでは選手が本来の力が発揮できません。監督の顔色をうかがっていては選手は萎縮してしまいます。僕はよく『監督の空気はとにかく大切です。監督の雰囲気でチームの力の発揮が変わります』と言うんですが、実際に監督の雰囲気が変わると、チームが勝ち進むケースってすごく多い。力が解放され爆発力が生まれるんです」

 選手の力を引き出すコツは個々の能力を信じ、自信を持たせること。いわゆる不可能を可能にしてきた実話の映像を見せて、「自分たちもできる」と自分の可能性に気づかせていくことが有効な手段だ。また、緊張状態を解くのに効果的なのが「本気の朝礼」や「本気のじゃんけん」。何げないことを本気で楽しむことで脳のリミッターを外し、なかば強制的に力が発揮できる脳の状態、メンタル状態に持っていく。

「エラーやファインプレーで試合の流れが変わるって言うでしょ。流れっていうのはベンチの空気のことで、つまりは心の状態なんです。ファインプレーが出たときの心理を、例えばじゃんけんや『いいね!』という言葉で普段から脳に意識付けさせる。エラーで流れが悪くなるとか満塁はピンチとか、雨で流れが途切れるっていうのも脳の勝手な認識にすぎなくて、その意味付けを『いいね!』というポジティブな言葉で変えてやる。たったそれだけで気持ちの切り替えができたり、力を発揮できるようになるんです」

 また、矢野監督が実践する「予祝」はいわゆるイメージシミュレーション。試合前にヒーローインタビューをしたり、優勝した前提の日記を書かせることで、事前にいい結果をイメージさせる。

「脳って面白くて、監督に予祝日記をつけさせると8割方その通りの展開になるんです。監督は普段から選手を見て最高のパフォーマンスをわかっているし、試合展開を読む力もある。『できないかも』でなく『お前はできる』という思いを共有すると、想像通りに試合が進むんです。選手の場合だと、たとえば3球目にインコースのスライダーをホームランと書いたら、その通りの結果になったり。これは先回りして成功をイメージすることで、その場面で迷いがなくなってスムーズに体が動くようになるからです」

「やってやる」ではなく「できる」と思わせることで、普段以上の実力が出せるようになるという。

 選手の可能性に気付かせることと、それを実現させる具体策。“大嶋流メンタルトレーニング”が高校野球のトレンドとなる日は、すぐそこまで来ている。

 ☆おおしま・けいすけ 1974年1月19日生まれ、三重県桑名市出身。小学校3年のとき軟式野球チーム「正義パワーズ」で捕手として野球を始める。光風中では同校野球部に所属。名城高、名城大を経て一般企業に入社。2003年、居酒屋てっぺんを創業。06年、NPO法人居酒屋甲子園を立ち上げ、初代理事長に就任。14年、人間力大学を開校。社業の傍らメンタルトレーナーとして全国各地で講演会を行い、これまでに札幌大谷(北海道)、聖愛(青森)、釜石(岩手)、明桜(秋田)、聖光学院(福島)、国学院久我山(東京)、星稜(石川)、津田学園(三重)、京都成章(京都)、石見智翠館(島根)、高知商(高知)、海星、創成館(ともに長崎)、富島(宮崎)など100校以上に足を運ぶ。著書に「予祝のススメ 前祝いの法則」(フォレスト出版)など。

最終更新:10/21(月) 11:04
東スポWeb

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事