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育児用調製粉乳の輸出が好調 アジア圏での日本ブランドの信頼と評価高く

10/21(月) 12:02配信

日本食糧新聞

出生数減少が続き、育児用調製粉乳(育粉)、ベビーフードの国内需要環境は厳しさを増しているものの、社会環境の変化や災害の多発、輸出の好調とインバウンドの下支えなどで、1人当たりの使用量は伸びている。今年3月には、12年ぶりに「授乳・離乳の支援ガイド」が改定。乳児用液体ミルクの販売もスタートし、乳幼児の栄養を取り巻く環境は新たな局面を迎えている。社会構造が変化し子育てのスタイルも多様化している中、育児の「負担」と「不安」を和らげる製品展開や取組みが進んでいる。

けん引役はベトナム

2018年の出生数(人口動態統計速報値=外国人を含む国内の実需ベース)は前年から2.8ポイント減少し、95万0832人となり、過去10年間で最小値を示した。一方、育児用調製粉乳(育粉)の生産量は増加し、乳児1人当たりの年間使用量も増加傾向。

女性の就業率の上昇などによる共働き世帯の増加といった社会背景が影響するとともに、依然として根強いインバウンド需要、さらには輸出向けの増加が大きいとみられる。今年に入ってからもこうした傾向は継続しているが、3月からの乳児用液体ミルク発売もあり、新たな局面を迎えている。

2018年の育児用調製粉乳生産量は、前年比3.9%増の2万7773トンとなり、2017年から一転、増加に転じた。輸出量も前年比2桁増で、輸出比率(生産量のうち輸出仕向け量)も2010年以来8年ぶりに20%台を突破し、ますます高まっている。

今年に入り1~7月の動向を見ると、生産量が前年比1.8%減の1万5995トンで減少に転じている一方、輸出比率は前年同期を大きく上回る30%以上増の4092トンと伸長。輸出比率も25.6%と拡大した。アジア圏での「日本ブランド」への信頼と評価は依然として根強く、出生率の増加も続いていることから、今後もさらなる市場拡大が予想される。

輸出量が最大となったのは1993年で、育粉生産量に占める輸出比率も43.2%に達していた。輸出各社の東南アジア諸国や中近東エリアへの拡大努力が奏功した形だ。しかし、当時の急激な円高進行や、ガットウルグアイラウンドの決着を景気とした生産対応の切り替えなどもあり、1993年には368トンまで急減した。

その後、価格競争力ではなく品質面やブランド競争力の評価が進み、2007年には急速に輸出量が伸長した。このころ2008年には、中国では、「メラミン入り粉ミルク事件」が発生。そのため日本製品の需要が急拡大し、2009年には輸出比率が2桁の大台に乗り、翌2010年も生産量全体が減少したにもかかわらず、23.7%と拡大した。

ところが、2010年3月に宮崎県で口蹄(こうてい)疫が発生したことを受け、翌4月から中国政府は日本製乳製品の禁輸措置を断行。以降同国への輸出は急減し、7月に解除されたものの、輸出入手続き協議は遅々として進まず、さらに2011年3月には東日本大震災による原発事故が発生。放射性物質による汚染問題で再禁輸となり、中国・香港への輸出量は激減した。

2013年以降は一転、輸出は再び回復基調になる。輸出比率も徐々に上昇し、2015年には10%を突破し、昨年はついに20%台の大台に回復した。最近のけん引役はベトナムで、昨年の輸出量は3353トン、前年比5.1%増と拡大基調にあり、出生数も155万人とされる。今年に入ってからも、ナンバーワンの地位は揺るがず、1~7月で2884トンと大幅伸長。

かつて中国・香港経済が急速に拡大したことで、国民所得が向上し、ジャパン・ブランドの輸出量が増加した経緯があるが、ベトナム経済も同様に発展スピードを速めていることから、今後はさらなる市場伸長が予想される。

中国は2019年1月から電子商取引(EC)を規制する「中国電子商取引法」を施行。これによりインターネットによる代理購入にも営業許可が必要とされ、納税義務が生じることとなった。これまで、海外旅行客による「爆買い」も含めて代理購入ビジネスを成長させてきたが、今回の法律制定で潮目が変化してきている。

こうした中でもインバウンドは底堅いとみられ、特にベトナム旅行者らによる購入が拡大しているようだ。中でも、粉ミルクに加えてキューブタイプなど、付加価値の高い製品を購入する層も現れ始めている。

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最終更新:10/21(月) 12:02
日本食糧新聞

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