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プロテニス選手のコーチは割に合う仕事なのか?

10/22(火) 12:30配信

THE TENNIS DAILY

高いレベルでプロテニス選手として生活していくためは、規律、トレーニング、才能など多くの要素を必要とする。そしてラファエル・ナダル(スペイン)やロジャー・フェデラー(スイス)などのトップ選手であっても、質の高いコーチをつけることは不可欠だ。そうした選手を支えるコーチたちの収入は一体どのくらいで、彼らにはどんな責任があるのだろうか。米スポーツメディアSports Castingの、名コーチたちの仕事や収入などに迫った記事を紹介しよう。

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自身の仕事について語るプロ選手のコーチは少ない。しかし、1人のコーチの1日の流れを掴めば、通常のコーチの仕事が一体どのようなものなのか見えてくるだろう。どうやら彼らの業務は長時間を要し、そのほとんどが立ち仕事で、予測不能なスケジュールのもとに成り立っているようだ。テニスコーチのCarol Benito氏は、「A Day in the Life of a Professional Tennis Coach―プロテニスコーチの1日」という題名の記事を、米ウェブサイトOlympique Designに寄稿。コーチとしての生活がどのようなものか紹介している。

■その日によって、働く時間や内容は変わる

長時間、複数の選手のコーチングをする日もあれば、短時間の日もある。日によってトレーニングの種類も変わる。日々のルーティーンは予測不能で、ルーティーンと呼べるようなもの自体がないと言えるだろう。Benito氏は選手のニーズに合わせて動くので、選手が指定する場所や時間などによって彼女のスケジュールが決まる。そのため、プライベートの予定を立てることはとても難しい。

Benito氏は、コーチ業はたやすい仕事ではないと語る。「通常の仕事の場合、1週間の労働時間は40時間ほどになるでしょう。しかし、コートで体を動かさなくてはならないコーチ業では、30~36時間でも肉体的にとてもきついのです。40時間働くコーチもいますが、かなり自己管理をしないと身体に支障が起こる可能性が高くなります」

また、選手を相手にコート上で働くことに多くの時間を費やすため、自分自身のためにワークアウトするエネルギーは残らない。これは、プライベートの時間をあまり持つことができないという問題にも繋がるだろう。他の誰かの成功のために働くということは、それだけ大変なことなのだ。

■忍耐強くなくてはならない

コーチというのは、根本的には教師に似た性質の職業だ。生徒に向き合う際には、忍耐強さと冷静さが必要とされる。その生徒がトップクラスのテニス選手であればなおさらのことだ。選手たちのエゴや怒りをコントロールする術を持つことも、コーチ業の大切な部分である。さらに同じ選手は 2人としていないため、それぞれの選手に合わせたコーチングが必要とされる。

■これまでで最も優れたコーチとは?

Benito氏の話は、一般的なテニスコーチの代弁と言えるだろう。プロ選手のコーチとなると、さらに高いレベルでの献身が必要とされる。しかし、プロテニス選手にとってコーチはとても重要な存在だから、素晴らしい選手を育てたことで名声を得たコーチたちもいる。以下は、名選手たちを育てたトップコーチ5人だ。

Tony Pickard

イギリス人コーチのPickard氏は、ステファン・エドバーグ(スウェーデン)を指導したことで知られている。エドバーグの「ウィンブルドン」優勝を支えたコーチだ。

マリアン・バイダ

バイダ氏は、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)のコーチとして知られている。2006年からジョコビッチのコーチを始め、何度か彼のコーチを離れた時期がありつつも、2018年の右肘への手術後の復活に一役買ったとしてATPの「コーチ・オブ・ザ・イヤー(最優秀コーチ賞)」を受賞している。

ニック・ボロテリー

テニス界では、多くの人間がニック・ボロテリーを最高のテニスコーチとして挙げるだろう。彼が指導してきた選手は、アンドレ・アガシ(アメリカ)、マリア・シャラポワ(ロシア)、セレナ・ウイリアムズ(アメリカ)、ジム・クーリエ(アメリカ)、ボリス・ベッカー(ドイツ)、モニカ・セレス(アメリカ)など。次世代選手の育成のため、ニック・ボロテリー・テニスアカデミー(現IMGアカデミー)を創設した。

トニー・ローチ

自身も1960年代から70年代にかけて活躍した選手であったローチ氏。引退後はコーチとなり、フェデラーやイワン・レンドル(アメリカ)などを指導した。

リチャード・ウイリアムズ

ウイリアムズ氏は、ビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)とセレナの父でありコーチでもある。彼女たちを何度もグランドスラム優勝に導いた人物だ。

■プロテニスコーチの収入

一流のプロテニスコーチの収入については、なかなか得られるデータが少ないが、その金額は恐らく大方の予想を下回るものだろう。2010年の米紙Wall Street Journalの記事「プロスポーツ業界で最悪の仕事?」の中で、テニスコーチたちは「低賃金で長時間労働、そしてお高くとまった選手たちの相手をしなくてはならない」と主張。

2009年の米誌Slateが取り上げた「コーチ費用も含めたテニス選手が支払う途方もない金額について」の記事では、「世界ランキング150位以上の選手のコーチは、1週間で500ドルほどの稼ぎになると思います。もし選手が100位以内であれば1000ドルから2500ドル、その他に獲得賞金の10%とボーナスがプラスされるでしょう。選手のランキングが跳ね上がった際には、シーズン終わりにボーナスが支給されることがよくあります。エリート選手のコーチたちは、選手たち同様大金を稼いでいるのです」と書かれている。

10年の年月が経ち、金額については大きな変化を遂げていることだろうが、トップ選手たちのコーチが多額の収入を得ていることは明らかな反面、100位以下の選手を指導するコーチたちの収入はそこまで多くはない。コーチ業は、テニスに情熱を持てる者のみが選ぶべき職業のようだ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は「BNPパリバ・オープン」での大坂なおみ(右)とジェンキンスコーチ(左)
(Photo by Kevork Djansezian/Getty Images)

(c)テニスデイリー

最終更新:10/22(火) 18:57
THE TENNIS DAILY

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