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衝撃の「NVIDIA、通信業界に“再参入”」。KDDIとSBが採用表明した“ソフトウェア化する5G基地局”とは

10/23(水) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

エッジコンピューティングで5G向けサービスが変わる?

もう少し具体的に考えてみよう。例えば、スマートフォンに映像をストリーミング配信する場合だ。

ネットフリックスに代表される動画配信事業者の一部は、現在はクラウド上にデータを置いているケースがあり、サーバーからユーザーのスマートフォンにデータを転送している。

通信キャリアとサービス事業者間のインターネット回線が高品質であれば、高画質な映像配信が可能だが、インターネット回線が低品質だった場合には配信も低画質になってしまう。

そこで、通信キャリアの基地局の近くに独自のサーバーを置くことができれば、インターネットを経由する必要がなくなるので、いつでも高品質な動画配信が実現できる。こうした仕組みはエッジコンピューティング、よりモバイルに特化していうならMEC(Multi-Access Edge Computing)と呼ばれている。

なお、こうしたエッジコンピューティングは通信キャリアだけで使われるものではなく、IoT(Internet of Things)を効率よく使うニーズにも活用される。

例えば、スマート工場でAIロボットを使う場合、従来はクラウドにあるサーバー経由で制御していた。それがエッジコンピューティングを活用すると、制御は工場内にあるサーバーが担うようになり、インターネットの速度などに左右されることがなくなる。

今回発表されたEGXはそうしたエッジコンピューティング向けの製品だ。

現在はこうしたエッジコンピューティングの仕組みを利用したサービスはまだ少ないが、今後5Gが普及するにつれて、その需要は増していくだろう。NVIDIAのEGXもそうした需要を見込んでおり、だからこそ「NVIDIAは初めてこのMWC Los Angelsに参加した」(フアン氏)という。

NVIDIA×レッドハットで構築した通信機器をエリクソンが提供

今回NVIDIAは重要なパートナーシップを明らかにしている。それが通信機器メーカー「エリクソン」とIBM傘下のソフトウェアベンダ「レッドハット」との提携だ。

両社との提携により実現されるのが「ソフトウェア化された基地局」というハードウェアだ。

従来通信キャリアが4G LTEなどで利用していたのは、ある特定の機能をもった通信機器だった。こうした通信機器は特定された機能しか持っていないため、機能のアップグレードが難しく、機能を強化する場合には全交換など非効率(高コスト)になっていた。

ところが5Gでは、SDN(Software Defined Network)と呼ばれるそうした通信機器のソフトウェア化が導入される。

信頼性の高い汎用のプロセッサーとソフトウェアを組み合わせることで、従来の特定機能の通信機器を置き換えるという試みだ。通信機器のソフトウェア化とも言える。

機能をアップグレードしたい場合にはソフトウェアを更新すればいいし、機能を別のものに置き換えたい場合にも、ソフトウェアを入れ替えるだけでよい。

今回NVIDIAが提案したのは、レッドハットが開発したソフトウェアを、NVIDIAが発表したEGX上で実行し、それら「ソフトウェア化された通信機器」をエリクソンが通信キャリアに提供する計画だ。

同種のソフトウェア化された通信機器は、既に米インテルなども取り組んでいる。これから日本で、5Gのサービス提供を開始する予定の楽天モバイルでも、インテルの半導体によってソフトウェア化された通信機器の導入が決定している。

それに対してNVIDIAはKDDI、ソフトバンクが同社のGPUベースのソフトウェア化された通信機器の評価を開始する計画であることを明らかにしており、半導体メーカーによる通信キャリアへの売り込みが活性化していることが見て取れる。

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最終更新:10/23(水) 17:01
BUSINESS INSIDER JAPAN

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