ここから本文です

札幌市内を自動運転車が疾走! ロボットも同乗する実験内容をレポート

10/23(水) 14:00配信

アスキー

NoMaps2019にて、札幌市内約4キロの一般道を使って自動運転実験が行なわれた。取材では走行実験に先立ち、群馬大学の研究・産学連携推進機構「次世代モビリティ社会実装研究センター」の副センター長 小木津 武樹氏から実験車両および実験内容について簡単なブリーフィングを受けた。

【もっと写真を見る】

地域限定・路線限定で高信頼性を目指すNTT・NTTデータ・群馬大学の自動運転車
 NoMaps2019にて開催された2度目の自動運転。この実験は、NTT、NTTデータ、群馬大学の3者が連携して行なうもので、トヨタ自動車製「アルファード」をベースにした実験車両2台を使用し、札幌市内約4キロの一般道を使って行なわれた。
 
 実際の乗車時間は20分程度で、その間のハンドル操作や加減速は主としてコンピューターが担当する。ただし、車線変更や歩行者・対向車のために停止・加速などの判断が必要な場合は乗車員がタッチパネルを通じて判断を行ない、状況に応じて手動で運転する。いわゆるレベル2の自動運転を体験することができた。
 
 取材では走行実験に先立ち、群馬大学の研究・産学連携推進機構「次世代モビリティ社会実装研究センター」の副センター長 小木津 武樹氏から実験車両および実験内容について簡単なブリーフィングを受けた。
 
 車体の上部にはレーザーセンサー、GPSおよびカメラが搭載されており、走行中はそれらからリアルタイムで得られた情報と、車に搭載されたコンピューター内のデータベースを照合してその時点での位置を判定し、車体の操作を行なう。搭載コンピューターには、事前の走行によって取得された道路や周囲の建物および標識などの地図データに加え、人間が手動で運転した場合の走行ルートや停止位置などを保存してある。これにより、AI処理だけでは得られない自動走行への高い信頼性の実現を目指している。
 
 小木津氏は「既存の自動車メーカーなどはあらゆるところを自動で走行できるような自動運転車の実現を志向しているが、我々は(自動運転車を使用する)地域や路線を限定することにより高い信頼性を実現し、(完全な)無人運転に早く到達することを目指している」と語った。
 
 たとえば札幌から沖縄まで自動車で走ることを考えると、その間に20万基程度の信号を通過しなくてはならない。それらすべてを漏れなく認識し、状況判断を行うのは人間でも難しい。しかし特定の地域における駅から病院までのような路線に限定すれば、信号は数基から十数基程度に限定できるし、それらを確実に認識する技術に絞って開発すれば、より早く(その路線における)無人運転を実現できる可能性がある。
 
 小木津氏は、2020年内に日本のどこか数か所で地域限定の実用的な自動運転を実施したいとしている。その対象となる地域として、1)地域の人たちが自動運転を欲しいと思っていること、2)自動運転を適用しやすいルートがあること、3)自動運転に対する経済的メリットがあること、の3条件に合致する地域を探している。地域限定で考えるなら、すでに技術的には実装の最終段階にあると自信を持っている。
 
 なお、今回の実証実験では8人乗りの乗用車を使用しているが、群馬大学は38人乗りの自動運転バスも保有している。ハードウェアによるコスト面や、ドライバー不足などの社会的要請などの面からも、初期には路線バスなど単価の高いものが優先されるだろうとのこと。そこから単価を下げていって、普通乗用車など小型の自動車にも実装していくことを目指している。
 
自動運転車、札幌市内を走る!~コミュニケーションロボットが乗る人の心を癒す~
 走行実験車には、運転席と助手席の間にタッチパネルがあり、それを用いて周囲の情報を表示するとともに自動走行・手動走行の切り替えを行なう。また、前部座席と後部座席の間には、「ソータくん」と呼ばれるコミュニケーションロボットがおり、助手席背もたれ裏に取り付けられたディスプレイと音声により、同乗者に自動運転車への乗車時の注意点を説明したり、周囲の観光スポット情報を伝えたりしている。
 
 小木津氏によれば、自動運転車に乗ると、スムーズに走行しているときでもそこはかとない不安感がつきまとう。その結果、自動運転に対する印象も影響を受ける。コミュニケーションロボットから陽気に話しかけられることによって、その印象をポジティブに変えていくことを狙っている。
 
 制限速度が時速60kmの道路であっても、常に60kmで走っていては危険な場合がある。人間のドライバーは、そういった危険をわかった上で速度を調整しつつ運転している。現在の技術では、そのような状況把握をすべてAIによって判断させるのは負荷がかかる。そこで今回の実験車では、事前に決められたルートを複数回走行し、走りやすい車線や安全な停止位置などの細かい情報をデータベース化してある。
 
 地域限定にすることにより、細かいデータをすべて小さなコンピューターに保存することができ、自動運転車の信頼性を高めている。
 
 実際、今回試乗してみて感じられるのは、ドライバーが運転しているのか、機械が運転しているのか、なかなかわからないレベルまで自然な運転となっていた。道幅の狭い土手沿いで対向車とすれ違ったり、市街地の交差点や複数の車線も、違和感のないスムーズさがあった。
 
 参考までに、今年度と一昨年の様子をそれぞれ下記に動画でアップしているので、見比べてみてもいいだろう。
 
 今年度
 
 一昨年度
 
 ただし、ドライバーなしにすべてを操作するレベル4の自動運転車を実社会に適用するためには、タッチパネルを乗っている人に操作してもらうのではなく、遠隔地で操作・監視する仕組みなどを導入する必要があるという。来年にはそういったことも含めた実験を国内数か所で行ない、さらに実績を積むことを目指している。
 
 一般道から駐車場に入るために歩道を横切るときにはドライバーによる操作が必要になっているように、すべてを人間の操作なしに移動するようになるにはまだ多くのハードルがある。しかし、地域や路線を限定することは経済面からみても有用であり、社会実装の妨げにはならないだろう。
 
 自動運転車は日本企業の強みを発揮できる面も数多くある産業の育成という点からも注目されている。2020年の実装を目指す群馬大学・NTT・NTTデータの取り組みに期待したい。
 
 
文● BookLOUD 根本 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP

最終更新:10/29(火) 9:11
アスキー

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事