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マラソン札幌開催は「当然」の決定だ。オリンピックの本質を踏み躙る「商業主義」は終わりにしよう

10/23(水) 17:10配信

REAL SPORTS

2020年東京オリンピックの男女マラソンと競歩のコースを札幌に移す案が国際オリンピック委員会(IOC)から提案され、その動向が注目されている。IOCのトーマス・バッハ会長の意向が強く、札幌開催が決定的とも報じられているが、報道当初は「東京オリンピックなのだから東京で開催すべき」との声も多く上がった。作家・スポーツライターの小林信也氏は、札幌移転開催支持、そしてこの動きがオリンピックがスポーツの本質を取り戻すきっかけになる可能性があると指摘する。

「温暖で理想的な気候」という”ウソ“から始まった開催地変更問題

東京オリンピックのマラソンと競歩の開催地が急遽、札幌に変更されそうだ。
IOCのトーマス・バッハ会長が「決定だ」とコメントしたから、その意志は固く、札幌で開催する方向で新たな準備が進められるだろう。

突然の報道を受けて、国内では賛否両論が渦巻いている。「東京で見たかった」「マラソンはオリンピックの華だから、これでは東京オリンピックとは言えない!」「暑いレースに備えてきた選手がかわいそう」等々、私の予想に反して、各種調査でも「札幌移転反対」を唱える意見が多く聞かれる。

私は、このニュースが流れた直後から、「ホッとした」「ぜひそうすべき」と、一貫して歓迎の姿勢で、「さまざまな難問や苦労はあるだろうが、実現してほしい」と主張している。それは、東京オリンピック招致に一貫して反対してきた立場と通じる。

本来なら、東京オリンピックは開催すべきではないと考えていた。理由は主に次のとおり。

1 東日本大震災の復興を優先すべきだ。東京五輪のお祭り騒ぎに予算もマンパワーも奪われるべきではない。

2 スポーツ界の不祥事が頻発している。旧態依然の指導法や悪しき支配関係が常態化し、選手に主体性のあるスポーツ環境が確保されていない。本来のスポーツの意義や約束事を日本社会は共有できていない。勝てば官軍、勝利者ばかりが礼賛される。それなのにまた政財界がスポーツを利用しようと目論むのは言語道断。

3 1984年のロサンゼルスオリンピックから導入された商業主義はオリンピックを巨大なビジネスに変貌させた。しかし、30年を経て、限界と弊害が明らかだ。それなのに、2020年も同じビジネスモデルで甘い汁を吸おうという考えは愚かだ。必ずひずみが生じ、破綻が起きる。日本が次のビジネスモデルを提案・創出できるなら意義はある。

さらに、招致活動を通じて、「この時期は温暖でアスリートに理想的な気候」、福島の原発事故についても「the situation is under control.(状況はコントロール下にある)」などと、世界に公然とウソをついた。

いまも一部に返上論はある。が、いくらウソをついたとはいえ、日本が国際的にした契約だ。対外的に、そして何より世界のアスリートとの約束は遂行する責任がある。そんな中、パワハラ告発などが続発し、日本のスポーツが見直される機運が高まった。そして今回のマラソンと競歩の札幌移転。

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最終更新:10/23(水) 23:35
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