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軍事用ドローンに対する数々の誤解。世界中のテロ、ゲリラ戦の本質を見抜くには

10/29(火) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

「サウジアラビアの石油施設がドローンで攻撃された!」

9月14日にこのニュースが報じられると、メディア各社はこぞって「ドローンで戦争が変わる!」といった記事や番組を発信した。筆者もいくつかの番組や雑誌にコメントを求められ、軍事用のドローンについて解説する機会があった。

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その際、「今回の攻撃のすごいところは、ドローンが使われたことですが……」と先方から切り出され、こちらから「いや、今回の件ではそうではなくてですね……」と応える場面が非常に多かった。事件から1カ月以上が過ぎたが、いまでもこうしたちぐはぐなやり取りは続いている。

「ドローン」というパワーワードが、どうもメディア上で迷走しているようだ。

「ドローン攻撃」への根本的な誤解

「ドローン」と聞くと、多くの人は、手で持てるサイズでマルチコプター(3つ以上の回転翼をもつヘリ)型のドローンを思い浮かべるだろう。誰でも簡単に空撮ができるとして大人気になった商品だ。価格は概して数万円から数十万円だが、安価なものだと1万円以下でも買える。

そのため、サウジアラビア東部のアブカイクとクライスの石油施設が巡航ミサイルとドローンの攻撃を受けて炎上したこの事件では、この「ドローンが使われた」という点にメディアの関心が集中した。誰でも簡単に買えるドローンが軍事用に使われ、凄まじい破壊力を見せたというイメージに、驚きと恐れがあったのだろう。

しかし、ドローンといってもさまざまな種類があるため、それぞれきっちり分けて議論しなければならない。今回の事件に関しては、そこが一緒くたに語られたことで、ドローンに対しておかしな理解が拡散している印象を、筆者は持っている。ドローンによる攻撃といっても、趣味用のドローンが使われたわけではないのだ。

サウジ攻撃のドローンは巡航ミサイルと大差ない

たとえば、今回のサウジ攻撃について言えば、ドローンの使われ方はとくに重要というわけではない。イランが開発した新型の三角翼タイプが使われたが、遠隔操縦されたわけではなく、あらかじめ入力されたプログラムどおりに飛行し、標的に突入しただけだ。

遠隔操縦するためには、操縦者から機体に電波が届かなければならないが、(仮に犯行声明どおりイエメンからの攻撃だったとすれば)アブカイクやクライスまでは1000キロ近い距離があり、衛星通信でも使わないかぎり遠隔操縦は不可能だ。

したがって、サウジ攻撃の際のドローンの使われ方は、巡航ミサイルと何ら変わるところがないと言える。巡航ミサイルとドローンの両方が使われたものの、長射程の巡航ミサイルがあるなら、何もわざわざドローンまで使う必要はなかった。何らかの理由が犯人側にはあるのだろうが、外部から推察したところで、それは憶測の域を出ない。

実は、こうした長距離攻撃の場合、巡航ミサイルのほうがむしろ有利と言える。概して巡航ミサイルのほうがパワーがあり、ペイロード(積載できる重量)がずっと大きい。より多くの爆薬を積めるので、威力がはるかに強力なのだ。

また、ドローンは低空を飛ぶから相手のレーダーに捕捉されにくいという利点が挙げられるが、それは巡航ミサイルもまったく同じだ。それどころか、巡航ミサイルのほとんどはジェット・エンジン推進によって高速で飛ぶのに対し、ドローンはプロペラ推進で低速のものが多いので、仮に飛行中に発見された場合、撃ち落とされやすい。

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最終更新:10/29(火) 18:01
BUSINESS INSIDER JAPAN

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