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さようなら「千代田線6000系」 根津メトロ文庫、始まりは駅員お手製の販売ボックス

10/29(火) 16:26配信

乗りものニュース

元々は記念乗車券の販売ボックス

 東京メトロ千代田線から最後の「6000系」が姿を消すようです。おや、6000系電車は1年前の2018年11月に引退したはずでは。いいえ、本物の車両の話ではありません。根津駅(東京都文京区)の不忍池方面改札内にある、6000系電車の形をした地下鉄文庫「根津メトロ文庫」です。

【写真】本物そっくり! パンタグラフが付いた図書室

「地下鉄文庫」は誰でも自由に本を借りられる無人の図書室です。ルールは読み終えたら本棚に返すだけ。本棚に並ぶ書籍はどれも利用者から寄贈されたものです。その代表的な存在である根津メトロ文庫に2019年10月末、「老朽化や維持管理コストの増大に伴い、近々撤去することになりました」という告知が貼り出され、ネットで話題になりました。

 東京メトロ広報部に確認すると、「近々」がいつになるか現時点では未定であるものの、設置から30年が経過したことによる老朽化と、時代の変化で利用が減っていることから、撤去を決定したとのこと。撤去後、「6000系」の本棚をどうするかは未定だそうです。

 根津メトロ文庫が登場したのは今からちょうど30年前の1989(平成元)年9月のこと。当時、どのような経緯で設置されたか詳しい記録は残っていませんが、1990(平成2)年6月30日の朝日新聞によると、電車型の本棚1987(昭和62)年、根津駅の駅員が廃棄されたテーブルの天板をくりぬき、周囲にパネルを張り付けて作成した「記念乗車券の販売ボックス」だったといいます。

 自動券売機の普及で役目を失い、倉庫でほこりをかぶっていた販売ボックスを何かに再利用できないかと考えたところ、四谷三丁目駅(東京都新宿区)に設置された「メトロ文庫」が好評と聞き、販売ボックスを本棚に改造することになったのです。

一時は3万冊を超えた蔵書

 こうして誕生した根津メトロ文庫は、駅員が持ち寄った約300冊の本からスタート。根津は森 鴎外ら文豪ゆかりの地でありながら、当時は近くに図書館がなかったので(2002年に文京区立図書館の分室「根津図書室」が不忍通り沿いに開館)、地元の人たちから本を寄贈したいとの申し出が相次いだそうです。

 蔵書はすぐに数千冊を超え、翌1990(平成2)年に貸出スペースを拡張するために作られたのが「2号車」でした。1991(平成3)年にはステンレスの外板や灯火類、やパンタグラフを付け加えるなどディテールを進化させ、6000系電車らしくなりました。

 1991(平成3)年2月16日の読売新聞によると、「材料はすべて本物の再利用」とのことですが、本物の前照灯や尾灯を使っているわけではなく、別の部品を使って見立てたものです。当時廃車が進んでいた日比谷線の3000系電車、東西線の5000系電車の廃材を使ったのかもしれません。

 しかし根津メトロ文庫は、ここから時代の波に翻弄されていきます。1995(平成7)年3月7日の読売新聞(都内版)によると、一時は3万冊を超えた蔵書は2000冊まで減ってしまったといい、「不景気に合わせるかのように(本の)提供者が減り、逆に本を返さない客が増加」と、バブル崩壊後の世相の変化を指摘しています。

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最終更新:10/29(火) 16:26
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