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大学の教室は「イートイン」扱いで税率10% 学内コンビニの対応、制度的には問題なし

2019/10/30(水) 8:23配信

税理士ドットコム

消費増税に伴い、軽減税率制度が導入されて1カ月が経とうとしています。10月下旬、神奈川県内の大学の学食内に入るコンビニエンスストアが、「当店の『イートイン』とはキャンパス内の全ての場所での飲食となります」と掲示していると、SNS上で話題になりました。取材すると、昼休み中の教室も10%の税率が適用される、イートイン扱いになっていることが分かりました。どのような経緯でこのような運用になったのでしょうか。(ライター・国分瑠衣子)

●学食、テラス席、教室が「イートイン場所」扱いに

横浜市にある日本体育大学横浜・健志台キャンパスには、約500席ある食堂の一角に「ニューヤマザキデイリーストア日体大健志台店」があります。簡単な仕切りがある店内では、おにぎりやパン、弁当などを販売し、昼休み中は多くの学生で混み合います。

同店によると、軽減税率が導入される前の9月に、イートインとテイクアウトをどう線引きするのかを検討しました。その結果(1)学生食堂(2)テーブルとイスがある屋外のテラス席(3)昼休み中の教室――の3カ所をイートインの対象にしました。

同店の担当者は「大学が飲食を認めている場所が、イートインの対象になると理解しています」と説明します。日体大の広報課も上記の3カ所を「コンビニのイートイン場所として認めています」と話します。

同店では、増税がスタートしてから1週間ほどは、学生が混乱しないようにレジ袋の中に軽減税率の制度を説明した紙を入れました。店内には、日本フランチャイズチェーン協会が製作したポスターを貼って周知しています。さらにサンドイッチとおにぎりの販売コーナーに「当店の『イートイン』とはキャンパス内の全ての場所での飲食となります」と掲示しています。

●「教室で食べます」と申告したら、本当に10%になった

ただ、これほど周知しているにも関わらず、申告せずに8%の軽減税率で購入し、学食内で飲食している人がいるとみられます。この店舗で買い物をする学生は「私は、イートインと申し出る人は見たことがない。みんな(イートインと)申告しないで隣の学食で食べています」と話します。イートイン制度の運用はうまくいっているとは言えないようです。この学生に頼んで、商品を買う時に「教室で食べます」と申し出てもらったところ、10%の税率が適用されました。同店の担当者は「申告せずに学食で食べている学生を見掛けますが、とがめることは難しい」と打ち明けます。

●合意あれば、教室も「イートイン」に

10%の税率が適用されるイートインと8%のテイクアウトの線引きは、軽減税率が導入される前から複雑さが指摘されてきました。増税後に、10%の税率が適用されるコンビニエンスストアのイートインコーナーを、無申告で利用する人の目撃情報が相次ぎ、「ザル運用ではないか」という声も上がっています。

国もこうした状態を問題視し、麻生太郎財務相は10月8日の記者会見で「現場でいろいろな対応が行われていることは承知しているが、政府としても必要に応じて、業界団体などを通じて実態の把握に努めなければならない」と話しています。

国税庁が公開している「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」によると、オフィス街や観光地の道の駅などで見掛ける、弁当や軽食の移動販売の場合、販売事業者がイスやテーブルを置いた場合は、外食とみなされて税率は10%になります。

では、今回の日体大のケースのように、飲食料品を販売する事業者(コンビニ)と、テーブルとイスの飲食設備を所有する事業者(大学)が異なる場合はどうなるのでしょうか。この場合でも双方が合意した場合は、税率が10%になります。

国税庁の説明によると、この合意の方法は、契約書を交わす「明示的」なものだけではなく、飲食料品を提供する事業者(コンビニ)が、テーブルやいすを使わせていることが、設備設置者(大学)に黙認されている場合の「黙示の合意」も含まれます。

今回のケースについての見解を国税庁に聞いてみましたが「双方の合意の一例と理解します。個別のケースについて、コメントは差し控えたい」とのことでした。制度上、問題はないのかもしれませんが、学生食堂に加えて教室までもイートイン場所として合意した日体大のケースは、違和感があります。

線引きが難しいイートインとテイクアウトの問題。誰もが納得できるスムーズな運用にはまだ時間がかかりそうです。

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:2019/10/30(水) 8:23
税理士ドットコム

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