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スバル大丈夫か 東京モーターショーでEVの出品なく、トヨタ頼み

11/1(金) 16:35配信

ニュースソクラ

ホンダとマツダは市販EV出品と対照的

 SUBARU(スバル)は開催中の東京モーターショーで、新型「レヴォーグ」のプロトタイプを世界で初公開した。新開発の水平対向直噴ターボエンジンや新世代の先進運転支援システム「アイサイト」を搭載し、「スバリスト」と呼ばれる熱心なスバルファンには朗報に違いない。

 でも今回のモーターショーで、ホンダとマツダが独自開発の電気自動車(EV)を出品し、2020年に市販すると発表したのとは対照的。スバルは電動化技術で出遅れていると言わざるを得ない。自動運転に向けた先進運転支援システムでも日産スカイラインに先を越されている。このままでスバルは大丈夫なのだろうか。

 スバルの中村知美社長はモーターショー開幕に合わせたメディア向け記者発表会で「クルマ業界は100年に一度の大変革期を迎えている。昨今ではCASE、Maasと呼ばれるように電動化、自動運転はじめコネクト、シェアリング、移動サービスなどといった、これまでのクルマ作りにはなかった新たな領域への対応が求められている」と発言。自動車業界が自動運転やカー・シェアリングなど環境の劇的な変革に直面していることを認めた。

 そのうえで、「こうした中にあっても、私たちスバルは安心と楽しさを普遍の提供価値とした個性的で魅力ある商品を通じて、お客様の人生のパートナーであり続けたい。いつの時代もお客様の笑顔を作るブランドでありたい」とも述べた。

 しかし、肝心の次世代技術開発について、中村社長は「先日、トヨタ自動車との新たな業務・資本提携を発表させていただいた。特にCASE、Maasといった新たな領域の対応においてはトヨタ自動車と共に歩みを進め、社会的責任と発展を果たしていきたいと考えている」と述べるにとどまった。

 確かにトヨタは2019年6月、EV開発強化の一環として、中・大型乗用車向けの専用EVプラットフォーム(車台)とミディアムクラスのSUV・EVをスバルと共同開発すると発表している。

 トヨタにはプリウスなどハイブリッドカーで培った電動化の技術があり、スバルにはレガシィやフォレスターなどで蓄積したAWD(全輪駆動)の技術がある。

 トヨタとスバルは「両社の持つ技術の強みを持ち寄ることで、EVならではの魅力ある商品づくりにチャレンジしていく」とコメントしており、共同開発したEVのSUVは両ブランドで販売する予定という。

 これから本格化する共同開発の成果を今回のモーターショーで発表するのは時期尚早というのはわかるが、スバルは北米でプラグインハイブリッドカーを発売しており、国内でも新型レヴォーグなどに搭載することはできなかったのか。いつまでも水平対向エンジン頼みで大丈夫なのか。

 今回のモーターショーでは、これまでエンジン重視でEVに慎重だったホンダとマツダが2020年市販予定のEVを出品した。両車とも航続距離が200キロ程度と、実用的なEVとしては、やや物足りない。EVには充電時間の長さやリチウムイオン電池の劣化など克服すべき課題が多い。とはいえ、スバルと同様にエンジンと走りを重視するホンダとマツダが、EVを市販する意義は大きい。

 対するスバルはトヨタとの提携に頼り、電動化技術の独自開発を諦めているように見える。

 中村社長はモーターショーの発表会で「自らの存在意義を示すべき領域においては、これまで以上にスバルらしく、個性的で走る楽しさを追い求めた、もっとよいクルマ作りをしていく」と述べた。しかし、トヨタとのEVの共同開発で、スバルがトヨタと異なる味付けのEVを売り出すことなどできるのだろうか。

 両社が共同開発したスポーツカー「トヨタ86」と「スバルBRZ」では、トヨタがスバルの水平対向エンジンを採用し、スバルに主要なコンポーネンツの開発と生産を任せてくれたため、スバルらしく、ファンも納得のいくクルマになった。でもEVの開発ではトヨタが主導権を握り、スバルらしい個性など発揮できる場面は少ないのではないか。今回のモーターショーを見て、そんな不安に襲われた。

岩城 諒 (経済ジャーナリスト)

最終更新:11/1(金) 16:35
ニュースソクラ

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