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赤色出す塗料の「桐油」で火勢拡大か 防火体制が不十分の指摘も

11/1(金) 9:20配信

沖縄タイムス

 首里城の正殿などが焼失した火事。木造で、赤い塗装に沖縄独特の「桐(とう)油(ゆ)」を使っていることが火の勢いを早めた可能性がある。消防によると現場は熱放射線(輻射熱 ふくしゃねつ)が強く、離れた所の木材も温度が上がって自然発火したとみられる。一方、屋内にスプリンクラー設備がなく、専門家は不十分さを指摘する。

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 ◆桐油を使うのは沖縄特有

 正殿は深みのある赤色が特徴的。文化財の保存・修理を手掛ける「文化財建造物保存技術協会」(東京)の元九州事務所長で石垣市出身の屋部憲右さん(76)=福岡市=によると、桐油(アブラギリの種から採る油)に顔料を混ぜた塗料が使われている。屋部さん自身も守礼門の工事で使った。

 屋部さんは「本土の古い建造物は漆塗りだが、桐油を使うのは沖縄特有。あっという間に焼け広がったのは、この油も原因の一つだろう」と指摘する。

 塗装下地の一部には漆も使われている。那覇市消防局の島袋弘樹局長は「漆を塗った建物はいったん燃え出すと簡単に消せない」と、火の勢いが持続した要因に挙げた。

 同時に「輻射熱がすごかった。正殿の表で放水していた隊員も二次災害の防止のため後ろに引かせた」と報道陣に説明した。

 ◆「スプリンクラーがあれば…」

 一方、正殿の屋内にはスプリンクラーがなかった。設置義務はないが、屋部さんは「沖縄の代表的な建築物なのだから、しっかりした設備があるべきだった」と疑問を呈した。

 建築防火工学が専門の東京理科大の大宮喜文教授も「木造で、しかも壁で仕切られない大きな部屋があり、火災の広がりは早いと考えられる。だが、スプリンクラーがあれば全焼に至らなかった可能性がある」とみる。

 復元工事を手掛けた国の国営沖縄記念公園事務所の記録によると、正殿にはホースを引き出して放水する「屋内消火栓」があった。大宮教授は「内部で火災が大きくなった場合は人が入れずに使えなくなる」と説明する。

 また、正殿の火災報知機には空気の熱膨張を感知する「空気管」方式が採用されていた。目立たない代わりに反応が遅く、大宮教授は「景観に配慮したのではないか」とみる。

 建物外部には水のカーテンを作って他の建物への延焼を防ぐ「ドレンチャー」があったが、結果として南殿や北殿にも火が回った。

最終更新:11/1(金) 14:05
沖縄タイムス

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