ここから本文です

松戸・矢切の渡し運航休止 江戸川増水で桟橋崩壊 資金なく「復旧は手作業」 【台風19号】

11/4(月) 12:48配信

千葉日報オンライン

 江戸初期から続く渡し場で、観光名所としても知られる「矢切の渡し」(松戸市下矢切)。10月の台風19号で江戸川が増水し、船乗り場の桟橋が流され運航できない状態が続いている。繁忙期を襲った災害に運航会社を営む船頭の杉浦勉さん(62)は「40年以上仕事をしてきたが、一番ひどい」と恨めしげに水面を見つめた。

 矢切の渡しは松戸と東京都葛飾区柴又を結ぶ江戸川の観光船で運航は代々、杉浦家が受け継いできた。市観光協会によると、江戸初期は農民の移動手段などとして使われた。柴又を舞台にした映画「男はつらいよ」などに登場し、脚光を浴びるようになった。

 「水かさは数メートル上がり、川岸から何十メートルも手前の土手まで水があふれた」。杉浦さんは台風直後の様子を振り返る。船乗り場の高さ2メートルほどの倉庫は水に漬かった痕が残る。

 桟橋の支柱の骨組みや足場となる木製の板はほとんど流された。川岸の土は削られ、乗り場の真横は大きく陥没。足場を下支えする鉄板は残ったが、「お客さんを安全に乗せられない」という。

 乗り場周囲には大量の流木やペットボトルなどのごみが散乱し、腐敗臭が漂う中で復旧作業に追われている。台風19号からおよそ3週間。先月25日の豪雨でも川が増水し、ごみがさらに増えた。

 杉浦さんと息子2人で営む運航会社に大掛かりな修復を行う資金的余裕はない。陥没部分を埋める作業も「業者に発注せず手作業」だという。2週間での完了を目指すが、長期化の懸念はぬぐえない。

 不運は続いた。台風通過の前後、船3隻のうち2隻のエンジンが盗まれた。「台風で人の目がないところを狙われた」。被害総額は百万円超。船を固定していたロープも切られ、危うく船ごと流されるところだった。

 火事場泥棒とも言える二次被害に遭い正直、腹の虫は収まらない。それでも「もっとひどい被害に遭った人はたくさんいる」。復旧作業の手を休めることはない杉浦さんは前を向く。

最終更新:11/4(月) 12:48
千葉日報オンライン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事