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藤原新也「少年の港」 数十年を経て見つめた故郷 【あの名作その時代シリーズ】

11/6(水) 18:00配信 有料

西日本新聞

藤原が生まれ育ち、そしてやむなく去った港町。岸壁の水たまりにできた空は、彼の一時代を映すかのようにどこかせつなく見えた

 「あの名作その時代」は、九州を舞台とした作品、または九州人が書いた著作で、次代に残すべき100冊を選び、著者像や時代背景、今日的な意味を考えながら紹介するシリーズです。西日本新聞で「九州の100冊」(2006~08年)として連載したもので、この記事は07年11月25日付のものです。

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 一九九三年。私が門司支局に赴任したとき、北九州市・門司港の街は「死にかけて」いた。次々に解体される赤れんが造りの倉庫群、閉鎖されたままの旧門司税関、老舗デパート山城屋は経営破たん目前だった。かつて九州の玄関口として栄え、本州、そして遠く中国から雑多な人や物資が集まった港町の建物はことごとく寂れ、姿を消そうとしていた。

 ただしそこには、色あせ、崩れていくだけの、ありきたりの地方都市の最期とは違う、夕日の残照のような鈍い輝きがあった。その印象が間違いではなかったことを、商店街の本屋で偶然手にした写真集が教えてくれた。

 波に泡立つ船だまりの石段は無数の旅人の足跡に削られていた。木造の古い銭湯の湯船からは気持ちの良いため息と会話が漏れてきた。モノクロの一枚一枚から、古い記憶が立ち上がってくる。藤原新也が生まれ育った門司港を写した「少年の港」(九二年扶桑社刊、絶版)は、開港百年の街がもつ数々の「物語」の輝きをとらえていた。

 藤原の生家は「藤乃屋」という旅館だった。それがどんな建物だったのか、ベストセラーとなった著書「東京漂流」の中でこう描いている。 本文:2,518文字 写真:1枚

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西日本新聞

最終更新:11/6(水) 18:00
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