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上期減収減益も強気のシャープ 業績回復の決定打はあるのか

11/6(水) 20:49配信

ITmedia ビジネスオンライン

 シャープが成長戦略に向けて強気の姿勢を崩さない。

 2019年度上期(2019年4~9月)が減収減益の決算となり、計画も未達となったものの、シャープの野村副社長は、「業績は18年度の第4四半期を底に回復基調にあり、各種施策を確実に遂行することで、下期も業績伸長を図ることができる」とコメントする。

業績回復に打つ手は?

 シャープが発表した19年度上期(19年4~9月)の連結業績は減収減益となった。売上高は前年同期比0.7%減の1兆1206億円、営業利益は21.4%減の359億円、経常利益は23.4%減の331億円、当期純利益は33.1%減の273億円となった。上期予想に対しても、売上高では794億円の未達、営業利益では71億円の未達、通期利益でも97億円の未達だ。

 また、第2四半期(19年7~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比1.8%増の6056億円、営業利益は0.6%増の223億円、経常利益は12.6%減の191億円、当期純利益は31.6%減の148億円となった。

 最終利益は大幅な減益になったものの、シャープの代表取締役兼副社長執行役員の野村勝明氏は、「米中貿易摩擦が長期化していることもあり、引き続き、厳しい事業環境となったが、19年度の第2四半期は安定した収益を確保することができた。業績は18年度の第4四半期を底に回復基調にあり、第2四半期の各利益は、第1四半期から引き続き伸長している。特に、営業利益は大幅に回復しており、前年同期も上回った。全てのセグメントで黒字になった」と強気のコメントをする。

 経常利益や最終利益は、為替差損益などの営業外損益や、法人税等が変動した影響だとし、本業の収支である営業利益は、前年同期を上回っていると総括した。

 上期のセグメント別業績では、スマートライフの売上高が前年同期比5.6%減の4140億円、営業利益は前年同期比27.9%増の186億円。カメラモジュールやセンサーモジュールなどのデバイス事業が減収となる一方、白物家電では(日本の冷夏の影響を受けたものの)冷蔵庫、洗濯機が国内外で伸長。エアコンも海外で伸張し、白物家電全体では2桁に迫る増収となった。特にASEANや中国では、ローカルフィットモデルが堅調だったという。

 「スマートライフのうち、約4割強が白物家電。国内よりは海外の方が伸張している」としたほか、「国内においては、消費増税前の駆け込み需要があった。業界全体を見ると、重点8製品(テレビ、レコーダー、洗濯機、冷蔵庫、電子レンジ、掃除機、エアコン、空気清浄機)では、8月が例年の4割増、9月は9割増で、シャープはそれを若干上回っている。10月第1週は前年比7割強、第2週は台風の影響もあり6割程度。第3週以降は約9割となっており、10月全体では前年比75~80%の動きとなっている。消費税率が8%に引き上げられたときよりも10%程度よい。

 11月、12月は90%程度まで回復し、1~3月には前年並みに戻ると見ている。東京オリンピック開催に伴う今後の需要増にも期待したい」などとした。また、デバイス事業については、「第1四半期は前年同期を大きく下回ったが、第2四半期は大きく伸長している」と述べた。

 8Kエコシステムの売上高は、前年同期比8.6%減の5744億円、営業利益は前年同期比35.5%減の176億円。「PCやタブレット向けのパネルは大きく伸長したが、市況の影響から、車載向けパネルが前年同期を下回ったほか、完成品のテレビが、国内や中国、欧州などで減収となった。国内のテレビ販売は、9月の大型台風の影響により、着荷が遅れた影響もある。また、スマートフォン用パネルは、前年同期には及ばなかったものの、需要の回復で第2四半期にかけては大きく伸長している。ビジネスソリューションおよびディスプレイの売上高は横ばいになった」という。

 なお、液晶の生産拠点である亀山第一、亀山第二、多気の全てで安定的な稼働状況になっているというが、「スマホ向けパネルは、PCやタブレットに比べて、利益幅が厳しい」と述べた。

 一方で、大型液晶ディスプレイを生産している堺ディスプレイプロダクツ(SDP)を子会社化しないことも明言した。19年夏には、シャープの戴正呉会長兼社長が、SDPの子会社化を検討すると発言していたが、それが白紙になった形だ。野村副社長は、大型液晶パネルの収益性が厳しいことを理由に挙げた。

 また、ICTは、売上高が前年同期比79.4%増の1803億円、営業利益が前年同期比14.0%増の110億円。「通信は、キャリアの料金体系変更の影響などから、前年同期を下回ったが、Dynabookの連結効果があり大幅に伸長。Dynabookは前年度下期に続き、黒字になった」とした。

 一方、19年度通期の業績予想は据え置き、売上高は前年比10.4%増の2兆6500億円、営業利益は18.8%増の1000億円、経常利益は37.7%増の950億円、当期純利益は7.8%増の800億円としている。

 期初公表値を据え置いた理由について野村副社長は、「期初の想定に比べ、進捗がやや後ずれしている事業があるが、業績は着実に回復している。各種施策を確実に遂行することで、下期も業績伸長を図ることができる」とし、「通信事業では5G対応機器などを投入。白物家電事業では、国内AIoTモデルの拡充や、健康関連、住宅設備、コンビニなどへの販売ルート強化、ローカルフィット製品を中心にしたASEAN、中国、米州、インドなどでのグローバル展開の強化を図る。8K/4Kやスマートテレビなどでは、国内外で商品ラインアップを強化。テレビ事業では大幅な増収を見込んでいる。カメラ、モニターなどの8K機器の拡大に加え、ディーラー買収や提携などによるソリューション販売の強化も図る。ビジネスソリューションでも複合機のラインアップを拡充する。また、デバイス事業でも、回復基調にある顧客需要を着実に取り込むことでIGZOを生かし、スマートフォン向けやPC、タブレット、産業用ディスプレイなどが大きく伸長する見込みだ」などとした。

 テレビは、国内における8Kテレビの新製品投入や、コスト競争力のあるシンプル4Kの製品群をそろえ、販売ルートの拡充にも取り組むほか、欧州ではスマートテレビを投入。中国では8Kによる高付加価値モデルを中心に展開する。さらに、有機ELテレビの商品化も検討していることを示した。

 dynabookでは、欧米での販売チャンネルの拡充を図り、ラインアップを拡充するとともに、アジアではシャープの商流を生かして展開。グローバルに事業を拡大すると同時に、サービス事業にも取り組んでいく姿勢を強調した。なお、中国で生産していた複写機とPCは、米中貿易摩擦の影響によって、タイや台湾といった国・地域での生産にシフトしていることで、影響を縮小化していることも示した。

 同社にとって、2019年度下期は、大幅な巻き返しが求められる。

 上期の売上高は1兆1206億円の実績だったのに対して、下期は1兆5294億円となり、下期計画は、上期実績に比べて、売上高は約4000億円の増加となる。「その半分以上が8Kエコシステムで、残りがスマートライフとICTでカバーする」と、野村副社長は語る。

 計画未達で上期を折り返したものの、それでも通期見通しを据え置いたように、同社では強気の姿勢を崩さない。そして、「各種施策を確実に遂行することで、下期も業績伸長を図ることができる」とする。

 同社が下期巻き返しのための各種施策として打ち出すのが、以下の7項目である。

 野村副社長は次のように語る。

 「顧客需要の回復を確実に取り込むことで、デバイスやディスプレイは大幅に回復する。また、ローカルフィット製品の投入により、欧米や中国などで新たな顧客を獲得し、グローバルで事業を拡大。エネルギーソリューションのみならず、B2C事業が中心だった白物家電やテレビ事業などでも、積極的にB2B事業を展開していく。さらに、5Gサービスへの対応によって、これまで培ってきた通信技術やノウハウを活用し、国内でのサービス開始に合わせて、タイムリーに5G対応機器を投入する。また、テレビやビジネスソリューションで8K関連機器を拡充するなど、これまでにはなかった商材を開発し、新たな事業を創出するとともに、IoTやクラウド、スマートライフなどサービス事業も拡大。新たに立ち上げたSHARP COCORO LIFEやAIoTクラウドも活用して、全社でサービス事業の強化を進める。そして、異業種連携やM&Aの活用によって、これまでの枠組みにとらわれない柔軟な発想で、早期に新たな商材や販売ルートを確保する」

 そして、「既存事業の維持、強化を図るとともに、『商品/サービスのUpgrade』『市場のExpansion』『新規事業の創出』による事業変革を進める。これにより、トランスフォーメーションの加速による成長力の強化を進め、『8K+5GとAIoTで世界を変える』を実現していく」と意気込む。

 親会社である鴻海精密工業出身の戴正呉氏が会長兼社長として陣頭指揮を執るなか、19年度を最終年度とする中期経営計画の目標を取り下げた。さらに、19年度上期計画には未達となるなど、2016年8月の戴社長就任以来、シャープは最大の難関を迎えているといってもいい。そして、回復の決定打ともいえる材料が見あたらないのも懸念点だ。シャープの強気の姿勢は、この流れを打破できるか。下期の動きが注目される。

ITmedia ビジネスオンライン

最終更新:11/6(水) 20:49
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