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「次回は必ず茅葺きに…」大嘗祭で使用される建物、優先されるべきは“建設費の節約”か“日本古来の伝統”か

2019/11/6(水) 9:01配信

AbemaTIMES

■「次は必ず茅葺きに」

 前回の建設費が約14億5000万円だったのに対し、今回は敷地面積を8割に抑えたものの、人件費や材料費によって約19億円にまで膨らんだ大嘗宮の建設費。しかし安藤氏は、全体的に費用がかかったのであって、板葺きから茅葺きにしても2000万円ほどしか変わらないと指摘する。

 「いろいろなことを節約してもこれだけのお金がかかってしまうので、まず茅葺きがやり玉にあがったのだろうと思うが、1300年前に始まった大嘗祭は、稲作をもって国作りをするということを宣明する儀礼だ。そこで使われるのは稲を象徴するススキだ。これは稲作農耕と深く結びついた資源で、田畑の肥料にもなるし、牛馬の餌になる。やはり屋根に使われるのはそれを象徴する茅葺きであるべきだし、そうでなければ五穀豊穣の意味を成さないし、経費削減ということでは説明できない、文化的、歴史的な問題だ」。

 その上で安藤氏は「職人さんたちに確認し、台風の時期でることを踏まえ、“最低でも20~30人の茅葺き職人で2週間かかる”という試算をもとに、実施が十分可能だという要望書を出した。前回までは皇室行事で、かつ余裕もあった時代だったので非常に立派な茅葺きを葺いたが、我々は“逆葺き”とって、穂先を外に向ける古来の簡素なやり方で提案した。むしろこちらが公式なものだが、それでも経費は3分の1で済む。しかしそれでも却下されてしまった。宮内庁としては、お金の問題というよりは、限られた時間の中で計画をもう一度組み直すこと難しいということだった。また、その間に台風が来て飛ばされたり、雨が漏れたりして、儀式の準備に支障が出ることを心配していた。ただ、茅葺きの重要性が分かっているにも関わらず、工期や単価の方が優先に捉えられていることはおかしいと思う。宮内庁という、歴史文化を守るはずの経済性や工期の管理といった技術的な面で説明することはおかしいと思う」との考えを示す。

 「今回はいろいろな事情でこうなってしまったが、これを前例にしてはならない。次は必ず茅葺きに戻すことが大事だと、むしろ今訴えないといけないと思う。今年、白川郷で世界茅葺き大会をやったばかりだが、世界7カ国から集まった人たちが“日本の茅葺きは素晴らしい”と称賛して帰っていた。世界的にも復活する傾向がある。それはやはり、エコロジーという大きな問題があるからだ」。

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最終更新:2019/11/6(水) 9:13
AbemaTIMES

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