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【村田亙の視点】世界の力の差がちょっと縮まったW杯、日本は記録と記憶残した

11/6(水) 17:10配信

時事通信

決勝は南アのフィジカルとディフェンス力の勝利

 ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会決勝が2日に行われ、南アフリカがイングランドを32-12で破り、2007年以来12年ぶり3度目の優勝を果たした。3度の世界一はニュージーランドと並び最多。大会の掉尾を飾った一戦を、元日本代表SHの村田亙氏が振り返った。

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 前半はやはり手堅いキックゲームになった。互いに陣地を取って、ハイボールを上げてきた。イングランドにとっては、前半2分で右プロップのシンクラーが頭を打って退いたことが非常に痛かった。そこから、スクラムで押され反則を取られるようになった。南アは前半の終盤にポラードが素晴らしいキックで40メートル前後のPGを2本続けて決めて12―6で折り返し。

 イングランドは後半、蹴らずにボールを継続して立て直そうとしたが、南アのディフェンスが強力だった。ダブルタックルに、密集への仕掛けの速さとパワー。イングランドもブレークダウン(タックル後のボール争奪戦)は強みとしていたのに、南アがスキルの高さとフィジカルで上回った。イングランドは攻めても攻めても南アの分厚い壁に阻まれて、何をしても抜けないという感じだった。少しでもサポートが遅れると、ジャッカルの餌食になった。南アのタックル成功率92%はすごい数字だ。南アは後半早々に入ったリザーブの両プロップもスクラムで押し込んでいた。押されたのは1度だけ。ラインアウトでもクリーンなボールを出させないようにしっかり研究していたのだろう。セットプレーは完勝だった。

 また、南アはSHデクラークが獅子奮迅の働きを見せた。そこにもいるのかと、あらゆる場面に顔を出し、タックルを仕掛けた。一方、イングランドのSHヤングズは細かなミスが多かった。プレッシャーはあったにせよ、普段はあまり見せないようなパスミスもあった。それで、余計にデクラークが目立った。SOポラードもハイパントを自らキャッチしたりと、際立ったプレーをしていた。ゲームメークも含めてハーフ団の差が32-12という結果につながった。

 一時はノートライで終わるではないかと思ったが、試合の終盤にマピンピとコルビの両WTBが後半にトライ。マピンピのトライは、CTBアムのラストパスが素晴らしかった。マピンピのショートパントをキャッチした瞬間にマピンピがそこにいると確信してのパス。強引にいくのではなく、理詰めのパスだった。コルビのトライは個人技で取った。相手はいたのに、カットインで簡単に抜き去った。どちらも南アを象徴するようなトライだった。

 南アのフィジカルとディフェンス力の勝利。僅差で南アが勝つと予想していたが、まさか20点も差がつくとは思わなかった。イングランドは準決勝でニュージーランドに快勝。これでちょっと油断が生じたのかもしない。エディーさん(ジョーンズ監督)にはなかったと思うが、選手にはあったかもしれない。逆に南アは準決勝でウェールズに苦戦し、しっかりと準備してきた。

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最終更新:11/6(水) 17:28
時事通信

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