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3年連続の最終赤字…「三井E&S」が抱える厄災プロジェクトの中身

11/7(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【プロはこう見る 経済ニュースの核心】

「事業を再構築し、飛躍に向けて力を溜める4年間」と位置づけたハズが、いきなり出はなをくじかれた。三井E&Sホールディングス(旧三井造船)は先週末、2020年3月期の最終損益が期初に見込んだ30億円の黒字から一転、880億円の大幅赤字に陥ると発表した。3年連続赤字で、財務基盤も一段と劣化。屋台骨を揺るがしかねない事態だ。

 三井E&Sは前期までの連続赤字を受けて今年5月、不採算事業の整理・撤退などを柱とする向こう4年間の再生計画をスタートさせたばかり。機関投資家筋からは「『力を溜める』どころか、力尽きてしまったのでは」といった皮肉も飛ぶ。

 大幅赤字の主因はインドネシアにおける火力発電所工事の遅延だ。発電用ボイラーに使う冷却用配管の設置でトラブルが頻発。人手不足や天候不順なども重なり、受注損失引当金713億円の追加計上を強いられる。同工事を巡っては前期も793億円の損失計上を迫られており、損失累計1500億円を超える「厄災プロジェクト」(業界関係者)となる。

■資本増強は不可欠か

 連続赤字は財務をむしばむ。三井E&Sの自己資本は6月末で1586億円。今期の最終赤字分をそのまま差し引けば、自己資本比率は7%(6月末15・9%)と、1ケタ台に落ち込む見通し。純資産が555億円(3月末)しかない単体ベースでは債務超過に転落する。

 同社では「下期に700億円超の資産売却や固定費の削減を行って単体債務超過を解消。主力行(三井住友銀行)などの支援も見込めるため資金繰りに当面問題はない」(幹部)としているが、市場では「いまの収益力では自力での資本基盤の回復は望み薄。資本増強を含む抜本策が不可欠」との見方が大勢だ。

 三井E&Sは13年、川崎重工業との経営統合を模索したものの破談。単独での生き残りを目指してきた。ただ、単独路線を主導してきた田中孝雄会長兼CEO(最高経営責任者)は、今回の業績悪化の責任を取って来年1月1日付で代表権とCEOの肩書を返上。同6月には取締役からも退く。50・1%出資する上場子会社、三井海洋開発との関係性を含め、再編などを探る動きが表面化してくる可能性もある。

(重道武司/経済ジャーナリスト)

最終更新:11/7(木) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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