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主観年齢を若くし、死亡リスクを下げる。高齢者のイメージを覆す「スーパーエイジャー」が今増加中

11/7(木) 6:00配信

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70歳以上の高齢者。認知・身体能力が著しく衰え、家に引きこもりがちになり、社交や運動、新しいスキルの習得には関心を持たなくなってしまう。「高齢者」と聞くと、このようなイメージを思い浮かべるかもしれない。

しかし時代の変化とともに、このような高齢者イメージは時代遅れになりつつある。

同世代と比べ圧倒的に高い認知・身体能力を持つ「スーパーエイジャー(super-ager)」と呼ばれる70歳以上の高齢者が増えているのだ。ときには、30代、40代に匹敵する能力を持つ高齢者もいるといわれている。

世界各国で深刻化する少子高齢化の時代。経済成長の減速や医療費の増加などさまざまな問題が指摘されている。一方、スーパーエイジャーが増えることで、医療費を抑制するなど、指摘される問題の一部を緩和できる可能性もある。

スーパーエイジャーをスーパーエイジャーたらしめているのは何なのか。ヘルスケア分野の最新研究から、スーパーエイジャーになる秘訣を探ってみたい。

年齢を言い訳にしないのがスーパーエイジャー

ハーバード大学関連医療機関のなかでも中心的な存在といわれるマサチューセッツ総合病院の神経科医、ブラッドフォード・ディッカーソン医師は数年にわたり「スーパーエイジャー」研究を行っている同分野の第一人者だ。

ディッカーソン医師らのこれまでの研究から、スーパーエイジャーになるための要件が明らかになりつつある。

1つは、常に新しい課題に挑戦する姿勢を持つことで、認知能力を維持・向上できる可能性だ。

ディッカーソン医師らは81人の被験者を対象に認知能力実験を実施。81人のうち40人が60~80歳、41人が18~35歳。

この実験では16個の名詞を覚え、20分後にどれほど多くの名詞を覚えていられるのかが調べられ、記憶能力の比較が実施された。

高齢者グループでは23人が9個以下という結果となった一方、スーパーエイジャーとされる17人は14個以上を記憶していた。これは18~35歳のグループと同じ水準だったという。

その後、高齢者の平均グループとスーパーエイジャーグループの脳をfMRIでスキャンしたところ、平均グループでは脳の一部が萎縮していたが、スーパーエイジャーグループは萎縮していないことが判明。この脳の部分は、感情や言語、さらには内蔵や感覚器官をつかさどる部位。この部位の大きさと記憶テストのスコアは相関していたという。

高齢者グループ全体のIQや学歴はほとんど同じ水準。脳の部位に差ができた理由についてディッカーソン医師は、高齢者になると認知能力を有する課題に直面すると投げ出しがちになる、しかしその課題に挑戦心を持って取り組む姿勢をスーパーエイジャーは持っていると指摘している。楽器や言語など新しいことに挑戦することが脳の萎縮を防ぐ可能性を示唆している。

このことは「主観年齢」とも深く関係していそうだ。

生まれてから毎年1つずつ重ねるのが実年齢。一方、実年齢に関係なく「自分が感じる年齢」を主観年齢という。多くの研究では、高齢であっても主観年齢が若ければ、健康で活発的な生活を維持できる可能性が示唆されているのだ。

BBCが伝えたところでは、この10年主観年齢に関する膨大な研究が実施されており、主観年齢が認知・身体にもたらす影響が明らかになりつつあるという。

心身医学分野の学術誌Psychosomatic Medicine2018年9月号に掲載されたフランス・モンペリエ大学のヤニック・ステファン博士らの研究は興味深い事実を明らかにしている。過去3つの研究から中高齢者1万7000人以上のデータをメタ分析したところ、主観年齢が8歳上の人は18%、11歳上の人は29%、13歳上の人は25%、それぞれ死亡リスクが上昇したのだ。

主観年齢が高くなることで、自信がなくなり、認知・身体的な課題に挑戦しなくなり、それが一層の認知・身体能力と自信の低下を招く悪循環をもたらす可能性を示唆している。このことは、主観年齢が若くなると、認知・身体的な課題に挑戦するという好循環をもたらす可能性も示唆している。

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最終更新:11/7(木) 6:00
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