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まばらにしか生えない髪の毛「嫌だよ、つらい」 涙を初めて見せた娘、母はともに泣き続けた 見た目問題

11/9(土) 7:02配信

withnews

顔の変形、アザ、マヒ……。外見に症状がある人たちが学校や恋愛、就職などで苦労する「見た目問題」。とくに子どもが当事者の場合、周囲からの心ない言動に傷つくことがあります。親はそのとき、どんな言葉をかけてあげればよいのでしょうか。円形脱毛症の娘がいる前橋市の新井舞さん(33)は「一緒に泣いて、苦しみを共有する」と言います。今夏、「この顔と生きるということ」を上梓した記者の長男も「見た目問題」の当事者です。親の思いを、尋ねました。(朝日新聞記者・岩井建樹)

【画像】髪の毛がまばらにしか生えていない優芽ちゃんを抱きしめる新井さん。手がけた小児用のウィッグも

泣きじゃくる娘 頭が真っ白に

新井さんの次女、優芽(ゆめ)ちゃん(9)の頭には、髪の毛がまばらにしか生えていません。円形脱毛症です。免疫の異常で毛髪の組織が攻撃される自己免疫疾患と考えられています。コイン大の丸い形で抜け、自然に治るイメージがありますが、優芽ちゃんのように全身に脱毛が広がる場合があります。

「髪がないの、嫌だよ」。6月、優芽ちゃんがそう言って、泣きじゃくる出来事がありました。

「優芽が脱毛症について『つらい』と口に出したのは、これが初めてでした。聞くと、社会科見学で、他校の子どもに頭に向けて指を差され、笑われたとのことでした」
 
「いつかこんな日が来ると覚悟していました。ドンと受け止めて『大丈夫だよ。ママはかわいいと思っている。大好きだよ』と抱きしめてあげようと思っていました。でも、実際に傷ついた娘を前にしたら、頭が真っ白になり、ただ一緒に泣くことしかできませんでした」

「思わず『気づいてあげられなくてごめんね』と謝ると、優芽は『なんでママが謝るの? やめてよ。ママは悪くないでしょ』と感情をあらわにしました。この子は優しいから。『ごめんね』という言葉も、優芽を苦しめることになってしまった」

子の苦しみを見届けられる親に

2人は数日にわたって、泣き続けました。すると、感情が発散できたのか、優芽ちゃんは明るさを取り戻し、元気に学校に通えるように。以降、脱毛について口にすることはありません。

「理想とは違って、ただ一緒に苦しむことしかできなかったけど、それでよかったと思う。親は、子どもの涙を止めてあげたいし、道を示すようなカッコイイ言葉をかけてあげたくなる。でも、そうでなくてもいい。私は子どもがつらいとき、苦しむ姿から目をそむけずに見届けられる親でありたい」

「優芽が弱さを見せることができる『逃げ場』になれたら。思春期には悩むと思うんです。そのとき、友人や先生、恋人といった存在が、彼女の逃げ場になるのであれば、何もかも親である必要はないと思っています」

優芽ちゃんの髪の毛が抜け始めたのは生後11カ月から。朝起きると、枕に髪の毛がべったりと落ちるようになりました。

「はじめは深刻に考えていなくて、そのうち治るだろうと思っていました。でも病院で処方された薬を塗っても治らなくて、後ろの髪の毛からどんどん抜けていって……。どうすれば治るのか。インターネットにかじりついて、数え切れないほど病院に足を運びました。でも、『こうすれば治る』との情報はどこにもなかった。対処療法はあっても、根本的に治すことはできません。絶望しました」

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最終更新:11/9(土) 17:58
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