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「立派なお考え」…奈良市の宿泊税導入に知事が痛烈皮肉

11/8(金) 7:05配信

産経新聞

 ホテルや旅館の利用客から徴収する「宿泊税」。東京都や大阪府などに続き、奈良市が令和2年度中に導入する方針を決めたが、奈良県の荒井正吾知事はこれに対し「県が(観光客を)増やし、そこから税金を取るとは立派なお考え」と痛烈に皮肉った。観光客全体のうち市内に宿泊するのはわずか1割にすぎず、徴税効果がさほど見込めない上、観光投資の大半を担っているのは他ならぬ県であるという自負が発言の裏にはある。(川西健士郎)

【写真で見る】市役所前に来春開業予定「JWマリオット・ホテル奈良」

 宿泊税は法定外目的税で、東京都、大阪府、京都市、金沢市、北海道倶知安町(くっちゃんちょう)(11月1日から)の5都府市町が導入済み。外国人観光客の増加を受け、観光振興などの財源に充てるのが目的だ。

 奈良市は、「(2025年の)大阪・関西万博などで奈良を訪れる観光客の増加が見込まれ、受け入れ環境の整備や観光産業の振興が必要」などの理由で、今年7月から宿泊税検討懇話会を開催。10月24日の最終会合終了後、仲川げん市長は「徴税の合理性について理解していただいた」と述べ、来年度中に導入する考えを示した。

 これに対し、荒井知事は翌25日の定例記者会見で「市のことは市が賢明に判断する」と前置きした上で、「(税収の)母体が小さく、負担に見合う受益を宿泊客にもたらすのは難しいのでは」と懸念をあらわにした。

 市によると、宿泊税を1泊200円とした場合、見込まれる年間税収は3億2800万円。京都市の42億円(初年の今年度見込み)、大阪府の7・5億円(2年目の平成30年度)、金沢市の6・6億円(初年の今年度見込み)と比べ、格段に少ない。

 東大寺や平城宮跡など多くの世界遺産に恵まれているにもかかわらず、見込み税収が少ないのは日帰り客が圧倒的に多いからだ。奈良に立ち寄っても宿泊は大阪や京都という観光客も多く、昨年1年間に奈良市を訪れた観光客は過去2番目に多い1702万5千人だったが、宿泊客は173万8千人と全体の約1割にすぎなかった。

 滞在時間が短く、宿泊客数も少ない。これこそ、奈良市が長年抱える観光面の課題だ。「奈良市はうまいものなし、宿泊施設なし、ないないずくしといわれてきた観光地。それをいい評判にしようと(県は)必死です」と荒井知事は言う。

 県は市内に点在する観光地を周遊する「ぐるっとバス」を100円の格安運賃で運行したり、国際会議に対応したコンベンションセンターを建設したりと観光サービスに多額の予算を投入してきた。外資系高級ホテル「JWマリオット」(来春開業予定)の誘致にも成功し、観光振興策は少しずつ成果が出ている。

 宿泊税の導入によって奈良観光のイメージが悪くなれば、こうした努力に水を差す-。県はまさにそこを懸念するが、市にも宿泊税に頼らざるを得ない事情がある。

 市が9月に公表した平成30年度決算によると、経常収支比率(人件費や扶助費などの義務的経費が一般会計に占める割合)は100・8%。100%を超えると、必要な経費が収入でまかなえないことを示している。深刻な財政難の奈良市は、新規の投資に回す資金的な余裕がないのだ。

 しかし観光振興を目的に宿泊税を徴収するからには、税の負担感を超える満足感を生み出す必要もあり、市にはその覚悟と知恵が求められる。

最終更新:11/8(金) 7:05
産経新聞

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