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台風15号被災から2カ月 千葉の久留里城観光9日から再開

11/8(金) 23:06配信

産経新聞

 台風15号が上陸した9月9日から休館していた千葉県君津市の久留里城の天守閣と近くの市立久留里城址資料館が9日、2カ月ぶりに再開する。紅葉シーズンに間に合わせようと復旧にこぎ着けたが、資料館の停電が解消したのは今月1日。固定電話がつながったのも6日だった。資料館の常勤職員4人はこの間、市内外の久留里藩の家臣の末(まつ)裔(えい)らから預かった大切な展示品や歴史資料を無傷のまま後世に残そうと、電気が届かない中、懸命の作業を続けていた。

 15号が上陸した9月9日。久留里の丘陵に建つ城の天守閣と資料館へと続く道路脇の巨木が強風で数え切れないほど倒れた。引き込みの電線や電話線に引っかかり、電柱6本が曲がったり、折れたりした。副館長の平塚憲一さん(49)は倒れた木々をかき分け、資料館への道を登った。「あれはジャングルでした」。

 停電で資料館は真っ暗。それでも平塚さんらは離れることができない。「展示品を劣化させてはならない。無傷のまま後世に残す」。博物館職員としての使命感だった。やらなければいけないことがあった。約230平方メートルの展示室の湿度を「60%以下」に保つことだ。60%以上になると、展示品や資料にカビが生える。9月は猛暑続きで湿度は高くなりやすかった。江戸時代に書かれた絵図や甲冑、刀剣…。どれも久留里藩の家臣の末裔らから預かった貴重なものだ。

 たくさんの除湿剤を買ってきて、展示室に置いた。暗闇の中、懐中電灯を片手に湿度計のチェックに神経を使った。除湿器が使えるようになったのは、発電機が届いた9月27日から。復旧作業が終わり、今月、ようやく停電が解消された。台風19号や記録的大雨もあったが、展示品や資料にカビが生えることもなく、無傷だった。電気が届いたことで9日夕から天守閣もライトアップされる。

 伝説によれば、平安時代末期の築城後、久留里城は雨の多さから「雨城」と呼ばれた。「雨の方が風情があるとも言われているが、相次ぐ大型台風に集中豪雨では風情どころでなかった」。この2カ月を平塚さんはそう振り返った。

 今月下旬から12月上旬までの紅葉シーズンに間に合うようにと、地元の森林組合や業者の協力で倒れた多くの巨木が片付いた。平塚さんは、倒木の影響で例年の紅葉の景色と変わる可能性もあることを心配する一方、「秋の久留里城へリフレッシュに来てください」と呼びかけている。

     ◇

 久留里城 房総半島の中・近世城郭の代表格。中世には里見氏、近世には黒田氏をはじめ数々の城主の居城となった。現在の天守閣(高さ約16メートル)と城址資料館は昭和54年に開館。敷地内には9日以降も復旧が終わっていない所があり、立ち入り禁止区域がある。開館時間は午前9時から午後4時半。月曜日休館(祝日は開館)。問い合わせは資料館(0439・27・3478)

最終更新:11/8(金) 23:22
産経新聞

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