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年末期限に自ら縛られ金正恩氏に焦り…米は「北の憤りに左右されない」

11/8(金) 23:38配信

産経新聞

 【ソウル=桜井紀雄】米国は、航空機を主体とする米韓合同軍事演習の実施を表明し、自国や同盟国の安全保障は北朝鮮の意向に左右されない姿勢を示した。北朝鮮は、トランプ米政権を脅したりすかしたりしてきたが、思い通りの譲歩を引き出せていない。金正恩朝鮮労働党委員長が米側に再考を促す期限とした年末が刻一刻と近づき、焦りの色を濃くしている。

 「消えゆく朝米対話の種火に冷や水を浴びせる危険千万な行為だ」。北朝鮮外務省のクォン・ジョングン巡回大使は6日付の談話で演習計画を非難し、「われわれが既に講じた重大措置の再考」を示唆した。トランプ大統領が米朝対話の成果として誇示する北朝鮮の核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の中断を撤回するぞとの脅しだ。

 だが、米国防総省のイーストバーン報道官は「北朝鮮の憤りに基づいて演習を調整したりはしない」と一蹴した。米側の演習発表前には、韓国メディアが韓国政府当局者の話として合同演習を見送る方針だと一斉に報道。北朝鮮を刺激させまいとする韓国と、米国の温度差を露呈させた。

 北朝鮮の崔竜海最高人民会議常任委員長は10月下旬、アゼルバイジャンで開かれた非同盟諸国首脳会議の演説で「米国が敵視政策を疑う余地なく不可逆的に撤回する措置を講じたとき、非核化論議もできる」と主張した。米側が求める「完全で不可逆的な非核化」の向こうを張って体制の保証や制裁解除が先決だと迫ったのだ。北朝鮮が米側の出方を探る試金石とみるのが演習の完全中止に応じるかだった。

 これと前後して対米外交を長年担ってきた金桂寛外務省顧問は談話で、米朝首脳の「関係は格別だ」との正恩氏の言葉を紹介し、「米国がどう年末を賢く乗り越えるか見たい」と強調。そうかと思えば、今年初めまで対米交渉を統括した金英哲党副委員長は、米国が首脳間の親交に頼って「時間稼ぎをし、年末を無難に越そうと考えるなら愚かな妄想だ」とクギを刺した。いずれにせよ正恩氏が期限に指定した年末までに「折れよ」との訴えだ。

 だが、米側が演習中止を公に拒否したことで、北朝鮮が描く妥協とはほど遠いことが鮮明になった。北朝鮮は最高指導者が設定した期限に縛られ、米側の譲歩を何とか得ようとミサイル発射などの挑発の度合いを一層高める可能性がある。

最終更新:11/8(金) 23:38
産経新聞

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