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ボランティア活動が日本の若者を変える?

11/8(金) 10:20配信

ベネッセ 教育情報サイト

11月に入ると、探究型の学習活動も「まとめ」に入ろうという時期です。総合的な学習の時間の活動として夏休みに地域の人たちや企業・団体とかかわる経験をした子どもたちも多いことでしょう。ただ国際比較でみると、日本の子どもの社会参加への意識は高いとはいえません。学びで得た気付きを行動に移す「種」をまく実践が期待されます。

問題解決に関心が低い日本の若者

政府の2019年度版「子供・若者白書」は、特集で日本の若者意識の現状を、国際比較から考察しています。調査は18年11月から12月にかけて、日本、韓国、米国、英国、ドイツ、フランス、スウェーデンの7か国の、満13歳から満29歳までの男女に、インターネットを通して行われました。各国から1,000人以上の回答を得ています。

「社会をよりよくするため、私は社会における問題の解決に関与したい」との質問に対して、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた若者の割合が多いのは、ドイツ(75.5%)、米国(72.6%)、韓国(68.4%)、英国(63.7%)、フランス(56.9%)、スウェーデン(56.9%)の順で、日本(42.3%)は最も低くなっています。

社会をよりよくするためのアクションの一つに、ボランティア活動への参加が挙げられます。しかし日本の子どもたちは、ボランティア活動に対する興味も、他の国々より少ないようです。ボランティア活動に興味が「ある」と答えた割合が多いのは、米国(65.4%)、英国(52.7%)、韓国(52.6%)、フランス(51.7%)、ドイツ(49.6%)、スウェーデン(45.8%)の順で、日本は33.3%です。この割合は2013年度の前回調査の35.1%より減っており、逆に興味が「ない」と答えた若者の割合は、41.9%から48.1%に増えていました。

ボランティア経験の有無がカギ

日本の若者について、社会参加への意識とボランティア活動の経験との関係を見ると、ボランティア活動の経験がある若者ほど「社会の問題の解決に関与したい」と思っていることがわかりました。現在、ボランティア活動に携わっている若者がそう思うのは不思議ではないとしても、「以前、活動したことがある」と答えた若者の52.6%が、社会問題の解決に関与したいと答えています。このことから、社会に関わっていこうとする若者の育成には、ボランティア活動の経験の有無がポイントになりそうです。

新学習指導要領の総合的な学習の時間においては「実社会や実生活」という言葉が繰り返し出てきますし、自分たちの身の回りの中から問いを見いだし、情報収集、整理・分析して表現すること、そして自ら社会に関わろうとする態度を育成することを目標に掲げています。地域の人に話を聞いたり、博物館などに調べに行ったりする中で、ボランティア活動をする大人と触れ合い、一緒に体験をしてみるだけでも、将来、社会問題を解決したいと、何らかの行動に移すきっかけになることは十分考えられます。

探究型の学習活動では「テーマ選び」が重要だと思われがちですが、同時に「どのように学んでいくか」にも着目した取り組みが求められています。

(筆者:長尾康子)

※2019年度版「子供・若者白書」
https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r01gaiyou/pdf_indexg.html

プロフィール
長尾康子
東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

最終更新:11/8(金) 10:20
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