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「避難情報廃止論」――避難勧告や避難指示は本当に必要なのか?

11/8(金) 12:11配信

THE PAGE

山形市で起こった警戒レベルを巡る混乱

 平成最悪の豪雨災害となった2018年7月の西日本豪雨災害では、総じて「防災気象情報」と「避難情報」は十分に発信されていたと言われている。気象庁は、早い段階で緊急記者会見を2度実施し、大雨特別警報を発表する可能性にまで言及した。そして、多くの自治体も避難勧告などの「避難情報」を適切に発令した。

 であるにもかかわらず、あれほど甚大な被害となったのはなぜなのか。その問いに対する答えの一つに、「防災気象情報」と「避難情報」と「住民(のとるべき行動)」との関係が十分に理解されていなかったというものがある。この反省から、三つの関係をわかりやすい形でまとめたものが、いわゆる「警戒レベル」(表1)であろう。

 2019年の出水期から、早速この「警戒レベル」の運用が始まったが、そこではいくつか混乱もあったようである。その中でも、私が注目したのは、ヤフーと山形市が絡む事例だ。この事例は、「避難情報廃止論」の問題意識を議論する上で、実に示唆に富むものだったと思っている。

 朝日新聞の記事(2019年7月19日朝刊、山形版)を元に、簡単に事例を説明する。今年7月18日、気象庁から大雨の危険度に関するデータの配信を受けているヤフーが、警戒レベル3相当の大雨の情報を受け、「警戒レベル3相当 高齢者など避難」との「避難情報」をポータルサイト上に掲載した。この時点で「避難情報」を発表していなかった山形市は、サイトを見た市民から問い合わせを受けるなどの対応に追われてしまう。こうした状況になったことについて、市の担当者が「市が避難情報を出したように見えて紛らわしい」などと話したというものだ。

 考えてみてほしい。ヤフーは、警戒レベル設定(表1)にのっとって、住民が判断しやすいように最大限の工夫をして防災気象情報を住民に直接伝えたに過ぎない。市からの「避難情報」は未発表であり、それがあたかも発表されたかのごとく見えて「紛らわしい」とのことであるが、市民にとっては「避難情報」が出ていようが、出ていなかろうが「とるべき行動(警戒レベル)」は(ヤフー等のおかげで)すでに明らかなはずである。批判にさらされるべき人など誰もいないように、私には思える。

 むしろ、どの立場にある人々も、「避難情報」に自らの行動を指南してもらおうと過度に期待したり、依存したりすることに無理があることを強く認識する必要があるということではないのか。

 よりシンプルに表現するならば、「ヤフー(などから情報をもらうということ)でいいじゃないか」ということである。

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最終更新:11/8(金) 12:11
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