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相次ぐ国立大学の授業料値上げ。国立大学の学費の仕組みと各大学の値上げのワケとは

2019/11/8(金) 8:20配信

ファイナンシャルフィールド

国立大学の授業料は長らく53万5800円でしたが、東京工業大学が2018年9月に値上げを公表して以降、東京藝術大学(2018年10月公表)、千葉大(2019年6月公表)、そして一橋大学(2019年9月公表)と授業料の値上げが相次いでいます。

私大文科系の授業料は80万円前後ですから、値上げによってその差が縮まりつつあります。保護者の中には、昔のイメージで国立大学の授業料は安いと思っている方がいますが、認識を改める必要がありそうです。

国立大学の学費の仕組み

国立大学の入学料・授業料は、標準額として金額が決まっています(文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」)。省令によると、平成17年度以降、昼間部の入学金は28万2000円、授業料は53万5800円、夜間部の入学金は14万1000円、授業料は26万7900円となっています。

なお、各大学は、標準額の120%を超えない範囲で金額を設定することも可能で、2019年4月の入学者については東京工業大学、東京藝術大学が授業料を引き上げました。千葉大学と一橋大学は2020年4月の入学者から授業料を引き上げる予定です。値上げ後の授業料は4大学とも10万7160円増の64万2960円になります。

授業料値上げの理由と使い道

各大学のホームページから値上げの理由および使い道を見てみましょう。

東京工業大学では、他の国立大学と一線を画した「東工大モデル」の教育を着実に実現するため、授業料を増額改訂します。

授業料改訂に伴い、国際化の推進、教育環境等の整備、学生の国際交流活動の充実といった教育内容・環境の向上を図る。と同時に、自主財源を増強する努力を続け、志のある学生が経済的状況により本学で学ぶ機会を逸することがないよう、新たな給付型奨学金を創設するなど学生の経済的支援の充実に努めます。

東京藝術大学では、世界で活躍できるトップアーティストの育成を強力に推進するため、授業料を増額改訂し、世界の一流芸術大学と伍して行くための教育研究の高度化や、トップアーティスト育成の中核をなす「実技指導」の重点強化等に充当し、学生たちに還元します。

また、授業料の値上げにより教育の機会均等の確保が損なわれないように、学生の経済的支援も充実します。

千葉大学では2020年度から取り組む「千葉大学グローバル人材育成“ENGINE”」の財源確保のために授業料を増額改訂します。

「千葉大学グローバル人材育成“ENGINE”」では、“学部・大学院生の全員留学”を目指し、留学プログラムや留学支援体制を一層強化するとともに、外国人教員の増員等による教育改革や、留学中でも科目履修が継続できる教育環境整備等を行います。

また同時に、志ある学生が本学で学ぶ機会を失うことのないよう、学生の経済的支援の充実にもさらに配慮します。

一橋大学では、社会科学分野における世界最高水準の教育研究拠点の構築に向けて必要となる大規模な改革を行うため授業料を増額改定します。重点領域の教員を採用するなど、教育の質のなお一層の向上に向けて活用し、これまで以上の教育プログラムの充実を図ります。

具体的には、「教育研究の国際競争力向上のための教員の充実」「語学教育プログラムの充実」「国際認証AACSBの取得による国際水準の教育の充実」「グローバルアクティブ・ラーニング等の整備」を掲げています。

また、経済的困窮度の高い学生には、本学で学ぶ機会を逸することのないよう、経済的な支援の充実にも努めます。

まとめ

今のところ授業料の値上げに踏み切ったのは首都圏の国立大学だけです。しかし、新たなことにチャレンジして魅力を出していかなければ、地方の国立大学も生き残りは厳しいでしょう。

自助努力による収入増や業務の効率化を図るなど、さまざまな経営努力を行っても新たなことにチャレンジする財源を確保することが厳しい場合は、授業料の値上げをせざるを得ません。授業料値上げの動きは今後も地方の国立大学にも広がっていくでしょう。

2020年4月から高等教育無償化が始まりますが、中所得世帯は対象外です。国立大学を目指す中所得世帯にとっては厳しい時代になりそうです。

執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャルフィールド編集部

最終更新:2019/11/8(金) 8:20
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