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[特派員コラム]強制動員被害者中心の解決策を/チョ・ギウォン

11/8(金) 12:42配信

ハンギョレ新聞

 今月5日、ムン・ヒサン国会議長の講演会が開かれた東京の早稲田大学の講義室。入場客はまず所持品検査を受けなければならなかった。大学周辺には警察官の姿も所々に見られた。2月に天皇の謝罪によって「慰安婦」被害問題が解決され得るという外信のインタビューが報道されて以降、ムン議長に対する日本内の世論が芳しくないことが作用したように見えた。実際、ムン議長が講演の中で当時の発言について、「日本の方々の心を痛めたなら、申し訳ないという気持ちを伝えたい」と述べると、聴衆の一人が「上皇に頭を下げて謝罪せよ」と叫んだ。

 自分に友好的でない雰囲気の中で日本を訪れたムン議長は、最近の両国間における最も敏感な問題である強制動員被害について提案を行った。ムン議長は韓日両国の企業と国民の自発的義援金などで基金を作る法律を韓国で制定しようと提案した。強制動員被害者だけでなく慰安婦被害まで包括する法律を作って、これ以上韓日の歴史問題で訴訟が発生しないようにしようと主張した。

 ムン議長の提案は、凍りついた韓日関係を氷解させるために、現実的に実現可能な方策を深く考えた末に出たものだと考える。ムン議長も講演の中で「両国の国民のおめがねにかなわず、すべての人から非難されかねないことは承知している」と述べた。

 しかし、ムン議長の今回の提案は憂慮すべき点が多い。まず、基金の性格だ。日韓議員連盟の河村建夫幹事長は今月1日、韓日・日韓議員連盟合同総会の際に、基金に関して「未来志向的なもの、エネルギーなどの新産業のために基金を作るのならよい」と語った。強制動員被害に対する賠償の性格を全く認めない経済協力基金程度の性格でなければ、日本は考慮できないという趣旨の発言だった。基金が強制動員被害に対する賠償の性格を完全に否定する形に変質すれば、被害者は納得できないだろう。

 第二に、自発的な募金を前面に押し出したため、強制動員に責任のある日本企業の参加を「強制する」方法はない。強制動員は日本企業が加害の主体だが、彼らが抜けた基金は説得力に欠ける。強制動員の加害日本企業が基金に参加するとしても、参加理由が強制動員問題のためではないと主張できる余地も大きいと見られる。第三として、最も重要な点は、被害者と話し合ったか、そして被害者中心の方策なのかという点だ。

 韓国政府が覆さなければ、今月23日0時に韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は終了する。米政府は、韓国政府にGSOMIAを延長するよう圧力を加えている。日本政府の主張も頑強だ。最高裁判所による強制動員賠償判決が1965年の韓日請求権協定違反であるため、日本企業は全く賠償に応じられないとの主張だ。劇的な妥結がなければ、来年初めには最高裁の強制動員被害賠償判決を履行するための被告日本企業の資産の現金化が行われる可能性がある。この場合、日本政府は公式に「対抗措置」として追加報復措置に踏み切る可能性が大きい。韓国の置かれている状況は厳しい。

 しかし、解決を急ぐあまり2015年の韓日慰安婦合意のような事態が再び繰り返されるようなことは避けなければならない。ムン議長も講演の中で、慰安婦合意について「被害当事者たちが全く同意しない合意はそもそも現実的ではなかったと思う。慰安婦問題の解決の本質は、被害当事者の尊厳と名誉を回復し、傷を癒すこと」と語っている。強制動員問題解決の本質も同じだ。「被害者当事者の尊厳を回復し、傷を癒すこと」でなければならない。
東京/チョ・ギウォン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:11/8(金) 14:33
ハンギョレ新聞

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