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【長引く台風被害】復旧の総合計画を描く(11月9日)

11/9(土) 9:10配信

福島民報

 台風19号の被害の広がりと、深刻さが県内各地で次々に浮かび上がる。当面の応急対策に加えて、国、県、市町村が協力し、復旧復興と災害に強い県土を目指す総合的な計画を作るべきだ。

 県がまとめた「福島県災害誌」などの資料によると、太平洋戦争後の七十年余りにわたる歳月の中で、死者と行方不明者の合計が三十人を超えた県内の主な災害は、東日本大震災を除くと、一九五六(昭和三十一)年に起きた梅雨前線の大雨などに限られるとみられる。

 戦前や戦後間もない頃に比べて、今は河川の改修や堤防の整備、ダムの建設が進んだ。天気の急激な変化や警報発令の情報は素早く、正確さを増して出される。また、過去の事例を教訓に、さまざまな対策が取られてきた。多くの県民が「防災や減災の態勢は充実したはず」と考えていたにもかかわらず、被害の拡大を十分には防げなかった。

 連日の調査が進むにつれて、道路や橋などの公共施設をはじめ、農林水産業、企業や商店、住まいの被害の箇所数、金額は増え続ける。震災と原発事故の被災者の中には、今回の水害でも痛手を負った個人や事業者がいる。

 県は緊急に必要な経費を盛り込んだ補正予算を、専決と呼ばれる手続きで決めた。被害の大きさから推し量ると、追加の補正予算案の編成を迫られよう。来年度の当初予算案と一体的に取り扱う工夫によって、復旧事業が年度末を挟んで途切れない仕掛けが大切だ。併せて、来春の県職員の人事異動を見据えて、復旧に対応できる組織の見直しや職員の配置が欠かせない。

 十日投票の県議選で当選する議員の任期は二十日に始まる。議員は選挙を通して、県民の切実な要望や悩み、被災地の厳しい現状に接しているはずだ。四年前、改選後の初めての議会は、選挙期日から三週間ほど後の十二月に入ってから開会した。今回は手続きや準備が整い次第、議会を開く迅速さが重要だ。

 初議会は、議長と副議長の選挙、常任委員長と副委員長の選任などによって議会構成を決める。各会派は災害対策の緊急性を念頭に置いて、円滑な議会運営に努める必要がある。特別委員会の設置などの検討も求められよう。

 福島県の災害史上、まれな被災であり、復旧や復興には長い期間がかかる。県民は国、県、市町村、警察、消防、自衛隊、ボランティアなどの懸命の支援に、感謝と期待を抱く。その思いに応え続けるためにも、それぞれの態勢を点検してほしい。(安田信二)

最終更新:11/9(土) 9:10
福島民報

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