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これぞ“本物の女優” 八千草薫さんは芸能リポーター泣かせだった?

11/9(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

【芸能界仕事術】

 先日、大女優の八千草薫さんが亡くなった。膵臓がんのためで、88歳だった。宝塚の娘役から映画界に進み、テレビドラマなどで活躍を続けていた。清純派の美人女優のまま、品のある、優しく穏やかなイメージで、それは年齢を経ても変わることはなかった。

 とは言ってみたが、実は恥ずかしながら告白すると、僕は八千草さんの取材をしたことがない。あれだけ印象に残る女優なのに、マイクを向けた記憶がない。30年以上、ワイドショーに関わっているのになぜかと思い、

 女性リポーターにも尋ねてみたが、やはり取材していないと言われた。次も同じ。3人目に声をかけてみたところでようやく、昨年、八千草さんが主演した舞台の通し稽古でインタビューしたという。

 その際、まだがんであることを公表しておらず、体は細くなっていたものの、「実にかわいい」という印象だったそうだ。実際は手術の後の抗がん剤治療も行っていたのだが、まったく気づかなかったという。そのインタビューでは、趣味として知られる山歩きも、愛犬の散歩も「引きずられてしまうため」やめてしまったという。

 確かに高齢ではあるが、山歩きは死別した夫の谷口千吉監督の趣味で、それが八千草さんの趣味になった。結婚当時は19歳年上で離婚歴のある監督との関係が波紋を呼んだそうだが、外野の不安をよそに50年連れ添っている。

 つまり、八千草さんにはスキャンダルがなかったのだ。だから我々リポーターが追っかけ回すこともない。映画や舞台の製作発表で登壇してきても、ターゲットにならなかった。にもかかわらず常に存在感を見せる第一線の女優でいたことが、これぞ“本物の女優”の証明だろうと思う。どんな役柄でも、そのかわいらしさと上品さを自然に感じさせ続けてこられたのは、天性のものと努力があったればこそだ。

 そういえば、彼女と交流があった映画評論家の大ベテラン、浜村淳さん(84)が「山の自然が好きな八千草さんは、自宅の広い庭も、雑草をそのまま生やしっぱなしにするのがお好きで」と話していた。

■浮気について質問された役所広司は…

 これを書きながら、スキャンダルがないということで、ふと役所広司(63)を思い出した。ダブル不倫を題材にした映画に出演した際、浮気について質問したのだが、「まったく考えられない。女房がいますから」という答えだった。

 僕は“致命傷”にならないスキャンダルなら、対応さえ間違えなければ悪くないと思っている派だ。逆に知名度を上げる効果もあるからだ。しかし、目指すべきはやはり、八千草さんや役所のような映画や舞台で目立つ役者だろう。僕らの商売は上がったりだが……。

(城下尊之/芸能ジャーナリスト)

最終更新:11/9(土) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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