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【“開国”の風景】外国人タクシー運転手、採用本格化 人手不足と訪日客に対応

11/9(土) 13:07配信

熊本日日新聞

 「アレックスが、安全運転で目的地までお送りいたします」。流ちょうな日本語でカナダ出身の運転手アレックス・リプソンさん(35)が、タクシーを発進させた。

 「お客さんの70%はまず驚いて、いろいろ質問してきますね。それこそ『ユーは何しにニッポンへ』ってね」。会話も立派な“おもてなし”だ。

 リプソンさんが所属する日の丸交通グループ(東京都文京区)は2017年春から、外国人ドライバーの採用を本格化。一つは慢性的な運転手不足に対応するため。もう一つは20年の東京五輪を含む海外観光客対策だ。

 観光庁の統計によると、18年の都内の外国人旅行宿泊客数は延べ約2319万人と、過去最多を更新し、熊本県の23倍。五輪イヤーには、さらに増えると予想される。

 日の丸グループには中国やブラジル、エジプトやパキスタンなど21カ国・地域の45人が在籍し、年内には50人まで増える見通しだ。

 カナダの大学で日本語を学んだリプソンさんは06年に来日。静岡県内の学校で12年間、外国語指導助手をしていた。「もっといろんな日本の社会を見てみたい」。インターネットで知った同社の運転手に応募し、昨年8月に入社。第二種運転免許を取得し、昨秋から運転手をしている。

 「んだべ」。山形弁が特徴的な同僚のマルシアル・ミーエさん(47)はフランス出身。山形県出身の7歳年下の日本人女性と結婚していたこともあり、米沢市で10年近く暮らした経験を持つ。

 アニメ「北斗の拳」や空手に憧れて05年に旅行で来日。「街がきれいで電車も時間通り来る」という日本が気に入り、山形から東京に戻って職を探し、7カ月前から運転手をしている。「お客さんとの会話は楽しいけど、東京の渋滞は嫌だな」

 外国人運転手にとって難しいのは、日本語の学科試験だ。同社では、時には教官がマン・ツー・マンでついて試験対策をサポートする。外国人は、入社から免許取得をへて営業所に配属されるまで、平均で日本人の1・5倍の60日間程度の研修が必要になる。

 それでもグローバル採用担当の大津[おおつ]一実課長(54)は「運転手不足はこれからも続く。会社としても外国人材に対応するスキルアップにつながるし、五輪までに100人に増やしたい」と前向きだ。

 熊本県内でも、タクシー運転手の高齢化や人手不足は深刻。県内タクシー会社約170社の乗務員約4800人の平均年齢は年々上昇傾向にあり、昨年11月時点で63・0歳。

 県タクシー協会が把握している外国人ドライバーはゼロだが、同協会の吉田光義専務理事(60)は「接客教育などの課題はあるが、県内でも外国人ドライバーが活躍する日がくるだろう」と将来を見通した。(太路秀紀)

(2019年11月9日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

最終更新:11/9(土) 13:07
熊本日日新聞

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