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台風19号1カ月 特産「奥多摩わさび」も打撃「復旧には数年…」

11/9(土) 17:34配信

毎日新聞

 台風19号の来襲から12日で1カ月。奥多摩町の特産品のワサビも、沢沿いの生産田が増水で流失するなど大打撃を受けた。行政や生産者らは被害調査を進めるが、林道の損傷などで現地入りが困難な場所も多く、全容把握にはなお時間がかかりそうだ。

 都災害対策本部の1日の発表によると、奥多摩町のワサビ田は判明分だけで29カ所が流失、被害総額は約1億7600万円に達している。ワサビそのものの被害も出ているが、被害額は算定中だ。

 奥多摩山葵(わさび)栽培組合の保科正廣組合長(67)によると、約60人の組合員が約80カ所でワサビを生産。増水で土壌が流され下の岩盤が露出した生産田も出た。

 同町でワサビ栽培をするオーストラリア人、デイビッド・ヒュームさん(71)は「前例のない水量で、長年使われてきたワサビ田が壊れた場所もある」と話す。井草長雄さん(71)は「流されたり、水が来ず育たなかったりしたワサビが数千本出た」と言う。

 ワサビ田は山中など遠隔地にあるものもある。アクセスする林道が土砂崩れで埋まったり、水でえぐれたりして車が通れないケースもあり、被害調査も容易ではない。保科さんは「復旧には数年単位でかかるのでは」と見る。ヒュームさんは「栽培農家の多くは前向きだ。必ず復旧したい」と決意を語った。

 都は被災農業者に対し、経営や施設復旧のための無利子貸し付けを行う方針だ。

 林野庁によると、沢沿いなどで栽培される「水わさび」の2018年の生産量は都が23トンで、長野県(789トン)、静岡県(333トン)に次ぐ第3位だ。JA東京中央会によると、奥多摩町のワサビは、江戸後期の1823(文政6)年刊行の地誌に生産や出荷の記述があるなど、歴史ある特産品で、将軍家に献上されたこともあるという。【和田浩明】

最終更新:11/9(土) 17:34
毎日新聞

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