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【解説】重要証拠を「隠ぺい」か?滋賀県警は西山さんの「12年の服役」に報いる「説明責任」を果たせ

11/9(土) 14:31配信

関西テレビ

滋賀県警が重要な証拠書類を隠ぺいか?

 滋賀県警が殺害を否認する重要な捜査書類を、今年7月まで検察に提出していなかったことがわかりました。刑事訴訟法では捜査書類を“速やかに”検察に送ることが定められていますが、滋賀県警がこれに反して有罪立証に不利となる「消極的な証拠」を隠していた疑いがあります。

 事件は2003年に滋賀県の湖東記念病院で看護助手をしていた西山美香さん(39)が、当時72歳の男性患者の人工呼吸器を外し殺害した罪で逮捕され、その後、起訴されました。

 裁判では西山さんの捜査段階での「故意に人工呼吸器のチューブを外した」いう自白が根拠とされ有罪となり、最高裁で懲役12年が確定。2017年まで服役していました。

その後、大阪高等裁判所は弁護側が提出した「病死の可能性がある」という医師の意見書を新証拠として認め、裁判のやり直しを決定しました。

裁判所の決定を受け弁護側が検察に証拠の開示を求めたところ、人工呼吸器を故意に外したことを否定する西山さんの手書きの自白調書が逮捕前につくられていたことがわかりました。
 ほかにも「男性患者はたんが詰まったことが原因で死亡した可能性がある」という医師の所見が記された捜査報告書も開示されました。どちらの書類も滋賀県警は検察に提出していませんでした。

もし、滋賀県警が速やかにこれらの書類を検察に送っていたら、起訴の判断に影響を与えたかもしれないような重要な証拠です。

「自白」偏重の捜査手法 取り調べで弁護士の立ち合いを

 これまでの冤罪事件はおおむね捜査段階での容疑者の「自白」が有罪立証の柱となっていました。厳しい取り調べによって、やっていないことを認めさせ、自白させる捜査手法が問題視されてきました。こうした冤罪事件の反省からようやく取り調べの「録音・録画」が認められるようになりました。ただ、「録音・録画」される事件は一部に留まり、任意段階での取り調べでは認められていません。

 一方、冤罪を防ぐ手立てとして有力視されているのは、取り調べ段階での弁護士の立ち合いです。欧米先進国や韓国でも立ち合いは認められています。法務省で検討は行ったものの、結局採用されませんでした。刑事司法制度が違う国と単純比較はできませんが、この事件をきっかけに、もう一度弁護士立ち合いついて議論する必要があるのではないでしょうか。

滋賀県警は説明責任を果たせ

 今回の事件に関して検察は事実上、有罪の立証を断念していて、西山さんに無罪が言い渡されることがほぼ確実となっています。しかし、西山さんに無罪が言い渡されたとしても、西山さんが服役した20代後半から30代までの12年は戻ってくることはありません。
 滋賀県警は関西テレビの取材に対し「コメントは差し控える」としていますが、西山さんの無罪が確定した段階で改めて記者会見を開き、重要な書類を提出しなかった経緯の説明をする責任があるのではないでしょうか。

※カンテレ「報道ランナー」  神崎博 報道デスク

カンテレ

最終更新:11/9(土) 14:31
関西テレビ

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