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ダイアナ・クラール、ジャズの女王が魅せる至高の音楽 東京2日目:レポート

11/9(土) 14:11配信

MusicVoice

 ジャズシンガーのダイアナ・クラールが11月5日、6日、7日の3日間、東京・Bunkamura オーチャードホールで3年振りのジャパンツアー『DIANA KRALL JAPAN TOUR 2019』の東京公演をおこなった。ツアーは5日の東京公演を皮切りに、13日の大阪公演まで4箇所6公演をおこなうというもの。来日メンバーはダイアナ・クラール (p,vo)、アンソニー・ウィルソン (g)、ロバート・ハースト (b)、カリーム・リギンス (ds)の4人編成で、訪れた観客をジャズが持つ洗練された音で魅了した。東京2日目となった6日の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

 オーチャードホールには3年振りのジャパンツアーということで、多くの観客が来訪。これから始まるコンサートへの期待感は計り知れないと言った様子だ。ダイアナ・クラールは現代ジャズシンガーの中でも世界で指折りの実力者で、グラミー賞やジュノー賞に何度も輝いたジャズボーカル&ピアノの女王。昨年は御大トニー・ベネットとのコラボアルバム『ラヴ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ』もリリースされ、素晴らしい歌声を響かせていたのも記憶に新しい。

 開演時刻を少々過ぎたところで、サポートメンバーに続いてダイアナがステージに登場。ダイアナのカウントから「Deed I Do」で幕は開けた。序盤からスピーディで最高のグルーヴと、ダイナのハスキーで艶のある歌声がホールに響き渡る。躍動感あふれるスリリングな演奏に圧倒されていく。

 ピアノと歌の相互関係、ダイアナが弾くピアノは歌をさらにワンランクもツーランクも押し上げるような演奏。 ダイアナが弾くピアノ演奏は表現力豊かという言葉で片付けるには、少々足らないだろう。語りかけるような旋律から、感情が弾けるような打鍵のベロシティ(強弱)の豊かさは目を瞠るものがあった。良いピアニストはピアニッシモ(弱音)が上手いと言われるが、それをまざまざと感じさせてくれた瞬間が数多くあった。逆にピアノを弾かずに歌に集中している時の、椅子に持たれるように歌う姿は、これだけでも画になってしまうクールさがあった。

 この日ナット・キング・コールのカバーで「L-O-V-E」も披露された。ダイアナは歌詞を忘れてしまったのか、スキャットで歌う場面も。その時も屈託のない笑顔で歌うダイアナの姿に、観ているこちらまで微笑んでしまう。このライブは終始アットホームな感じもあり、ダイアナのプライベート空間に遊びに行ったような、リラックスした、良い意味でのラフさがあった。

 前日5日の公演にはダイアナが敬愛するジョニ・ミッチェルの「A Case of You」をカバーされたが、この日はトム・ウェイツの「Take it with me」をピアノによる弾き語りスタイルでしっとりと届け、渋谷の夜を彩った。

 そして、サポートメンバーとの相性の良さも抜群だった。「East of the sun west of the moon」で聴かせてくれたような、アンソニー・ウィルソンによる洗練されたコンテンポラリーなフレーズは楽曲をよりスリリングなものにし、ロバート・ハーストはベースで幅広い音域を駆使しメロディアスなフレーズで楽しませる。そして、リズムの要であるカリーム・リギンスのダイナミックレンジの広さ、小さな音から大きな音までの振り幅は高揚感を煽る。一流ミュージシャン達によるアンサンブルは、永遠に聴いていたいと思わせてくれる。

 彼女が世界的成功を収めた重要な1曲「The Look of Love」も披露された。ピアノによる弾き語りから、バンドサウンドが入ってくるとその躍動感に心揺さぶられ、情感を込めながらもセクシーな歌声が会場を包み込んでいく。

 ジャズの醍醐味である自由さを体感させてくれるステージ。終始、非常にダイアナも楽しそうで、ミュージシャン達との音の会話を楽しんでいることが、客席にまで十二分に伝わってきた。そこから紡がれるサウンドは時間の流れを変えてしまうかのような不思議な力を感じさせる。

 アンコールにも応え「I've got you under my skin」など計3曲を披露し、人間という完全なアナログが作り出す至高の空間、充実した時間を我々に与えてくれた。コンサートは11月9日の金沢、11日の広島、13日の大阪公演まで続くのだが、一つひとつがまさにライブ、“音楽”という言葉の意味を体感させてくれるだろう。

最終更新:11/9(土) 14:11
MusicVoice

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